髙山若頭。山口組分裂抗争を最前線で指揮しているとされる(共同通信)

髙山若頭。山口組分裂抗争を最前線で指揮しているとされる(共同通信)

弘道会が抱える「ラーメン組長射殺」の負債

 山口組分裂抗争における殺人事件には2つのパターンがある。一次団体の存亡を懸けた事件と、地元の遺恨が原因となり、殺し合いに発展したケースだ。

 襲撃された志龍会はもともと六代目山口組の二次団体・石井一家から分裂した一派で、宮崎市の暴力団社会には、古巣の石井一家系と池田組系志龍会の根深い対立があった。前述した2016年の事件は石井一家に在籍したことのある元組員が殺されたものだが、2020年と2023年には志龍会の幹部が刃物で襲われていた。

 宮崎市では抗争の火種が燻り続けおり、慢性的な緊張状態だった。いつなんどき暴発してもおかしくなかったのだ。

 しかし、今回のヒットマンは、志龍会と接点のない弘道会の傘下組織稲葉地一家の組員だった。では、六代目山口組弘道会に襲撃の動機はあるのか。

 弘道会には“負債”がある。2023年4月、神戸市長田区のラーメン店で直参組長が射殺された事件である。容疑者は今年2月、仙台市内のアパートに潜伏していたところを逮捕された絆會の金澤成樹若頭だ。逮捕時に所持していた拳銃と、ラーメン屋で発見された銃弾の線条痕が一致しているため、金澤容疑者の犯行はほぼ間違いないだろう。実行犯が確定した以上、直参組長を殺された弘道会は、身内を殺した組織に報復せねばならない。

 ならば弘道会はなぜ金澤容疑者の所属する絆會ではなく、池田組傘下の志龍会を襲ったのか。

「池田組では、分裂直後、若頭が弘道会系組員に射殺され、後任の若頭も六代目山口組傘下組織組員に銃撃された。池田孝志組長も理髪中に襲撃されている。ボディガードが返り討ちにしたが、池田組長は『組員を長期刑には行かせない』と公言している。代わりに絆會の織田絆誠会長に実行部隊を担当してもらい、代償として資金提供を約束したといわれている」(警察関係者)

 7月9日、池田組長と織田会長が大阪府警に逮捕された。織田会長の自宅と事務所に、池田組長の親族によって1億円の抵当権が付けられていたが、前出のラーメン店主殺害事件後、ほどなくして抹消されていたことが分かった。抵当権が消えたのは、金澤若頭が実行した殺しの報酬ではないのか、と憶測を呼んだ。事件が池田組の報復を代行したものなら、今回、弘道会が池田組を襲撃した理由も分かる。

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