北海道・札幌出身の須藤被告
起訴状によれば須藤被告は事件当日「須藤被告が何らかの方法により野崎さんに覚醒剤を摂取させて死亡させた」とされる。検察官は冒頭陳述で開口一番、こう訴えた。
「完全犯罪!……犯人である証拠を残さない。殺人であるとすら思わせない。被告人が野崎さん殺害にあたり、企んでいたことです。今回の事件は、この完全犯罪がポイントになります」
そして事件は「資産家の野崎さんと財産目当てで結婚した須藤被告が、結婚から4ヶ月後、覚醒剤による完全犯罪により莫大な遺産を得るため、野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ殺害した」ものであると主張した。
生前の野崎さんはその生き様が週刊誌やワイドショーに取り沙汰される有名人だった。2016年には50歳ほど歳の離れた交際女性から6000万円ほどを持ち逃げされたことも報じられた。著作『紀州のドン・ファン 美女4000人に30億円を貢いだ男』(講談社刊)に野崎さんはこう綴っている。
〈私がお金を稼ぐ理由は、なんと言っても魅力的な女性とお付き合いをしたい、その一点に尽きます。〉
〈金持ちになることが目標ではなく、金持ちになって好みの女性とエッチすることが目標だった〉
公判で検察官は、そんな野崎さんと須藤被告の出会いを明らかにした。証拠によると、野崎さんの著作を読んでファンになったというある男性が、人づてに須藤被告を紹介したのだという。事件前年のことだった。野崎さんはこの紹介者に「健康には気を遣っている。100歳まで生きようと思っている。死ぬまで女を抱きたい」などと話し、その後も紹介者に電話をかけ、繰り返し「女を紹介して欲しい」と伝えていたのだそうだ。こうして年末、紹介者は須藤被告を野崎さんに繋いだ。