「いまがいちばん楽しい」と語る世良公則

来年に古希を迎える世良公則

あの佐野元春も笑顔に! それほど楽しい演奏だった

『時代遅れの〜』の結成意図は、世良がロックを続けてきた原動力そのものだったが、加えて、「いまこそやらなければならない」という危機感もあったという。

 というのもこのとき、コロナ禍の影響で軒並みライブは中止に。ミュージシャンだけでなく、音響、照明など、多くのスタッフが活動できなくなった。インターネットでライブ配信できるのはごく一部。莫大なキャンセル料を自己負担し、倒産してしまう制作会社やライブハウスもあった。

 2020年には、世良が毎年ライブを行っていたジャズクラブ「名古屋ブルーノート」も廃業。多くの音楽関係者が困窮し、精神的に病んでしまう人も多かったという。

「50年近くがんばり続け、ようやくロックが市民権を得たのに、コロナ禍になって音楽自体が活躍の場を奪われました。これはショックでしたね。こんな簡単に、ぼくたちが築いてきた世界は崩れるんだと……。でも、文化を救わないと人の心が廃れていく。だから、世の中が困窮しているいまこそ、音楽の力を示したい、と思ったんです」

 ミュージックビデオの収録では世良たちアーティストもスタッフも笑顔が絶えなかったという。

「紅白のときも、ぼくたちは全員笑顔だったでしょ。あれは心から楽しかったから。普段は物静かでクールな佐野くんですら満面の笑みを見せたほどですから(笑い)。

 ぼくたち5人がそろうと自然とセッションが始まるんです。その場面を切り取ったのがまさにあの紅白でした。本番はほぼアドリブ。なんせ、5人で練習もしなければ、リハーサル内容も無視。休憩時間は、どんな楽器を使っているのかなんて、機材の話ばかり。で、本番では桑ちゃんが、歌わないはずの人に無茶ぶりしたり、“レッツゴー!って一言入れるから、半拍早めに切って”なんて指示したり……。それでも全員即座に対応できちゃう。あと何曲でも演奏できますって感じでした」

 よほど楽しかったのだろう。話しつつも笑顔があふれていた。

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