「キャリアを終えるとき、ちょっとだけいいミュージシャンでいたい」と、37歳から約17年、音楽活動のみに専念

「キャリアを終えるとき、ちょっとだけいいミュージシャンでいたい」と、37歳から約17年、音楽活動のみに専念

未来を見て「いまを楽しく」それがいちばん大事

『時代遅れの〜』という名称は桑田のアイディア。

「名前の由来を桑ちゃんに聞いたら、“ぼくにはこの名での勝算があるんだ”って一言。だからこれはぼくの考えなんですけど、この企画では“時代遅れ”と言いながら新しいことをやっている。逆張りのメッセージが込められているんじゃないかなと。“これからの未来を考えてほしい”という意味があるんだと思うんです。だって、このバンドには未来しか感じられませんでしたから。メンバー全員が未来しか見ていないからでしょうね。10年経って、“さぁまたやろう”って言われてもやれますよ」

 たしかに、70代、80代になってもシャウトしている世良たちの姿が目に浮かぶ。

「ぼくのやることは、これからも変わりません。でも、“きっといつかは枯れて散る”という思いは常にあります。だからこそ、その覚悟を持って止まらずに生きています。そのためには、いまできるすべてを懸けないといけない。いまをキープする意識ではだめ。100%以上の表現をし続けるくらいで、ようやくキープできるんじゃないかと思っています。立ち止まらず、上を目指したいですね」

 ストイックだ。そのための健康管理も欠かさない。のどは筋肉なので、ライブ後はすぐに冷やし、寝る前は温める。食事は素材とだしにこだわって自ら作り、脳を“無”にする時間を作ってストレスをためない。15年ほど前から岐阜県にある窯に通い陶芸も行っており、ライブの合間に立ち寄っては作陶するのが、息抜きと生きがいになっているという。

「声も若い頃より出ているし、ギターも効率よく弾けるようになった。いまがいちばん楽しい──。本心からそう思うし、そうやって生きていくことが大切だと思っています。尊敬する宇崎竜童さん(78才)は100才まで演奏し続けると言っているので、ぼくもがんばりたいな(笑い)」

 アコースティックギター1本で2時間のライブを歌いきる愚直なロックンローラー。軽やかに年齢を重ねる世良の今後が楽しみだ。

(了。前編を読む)

【プロフィール】
世良公則/1955年、広島県生まれ。1977年、ロックバンド「世良公則&TWIST(ツイスト)」でデビュー。『あんたのバラード』や『燃えろいい女』など数々のヒット曲を生み、日本のロックミュージックを牽引。1981年の解散後はソロに。俳優としても活躍し、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021年)などに出演。2022年には、「サザンオールスターズ」の桑田佳祐に誘われ『時代遅れのRock’n’Roll Band』のレコーディングに参加。同曲で『第73回NHK紅白歌合戦』に出場。

【今後のイチオシ!ライブ情報】
■『YEBISU GARDEN PLACE 30TH ANNIVERSARY WEEK SPECIAL PRESENTATION! EBISU JAM 2024〜世良公則 KNOCKKNOCK with神本宗幸 「TWIST and shout」』
「TWIST」のオリジナルメンバーで盟友の神本宗幸を迎え、「TWIST」のオリジナル&カヴァーで構成するアコースティックライブ。ゲストは宇崎竜童。
〔日時〕10月13日(日)17時開演〔場所〕恵比寿ザ・ガーデンホール(東京)※チケット発売中

■『世良公則 x JETROX TOUR 2024』
ゲストにつるの剛士を迎え、盟友・神本宗幸も特別参加。
〔日時〕11月4日(月・祝) 17時開演〔場所〕東京・Zepp Shinjuku※チケット発売中

取材・文/上村久留美

※女性セブン2024年9月26日・10月3日号

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