日暮里駅の東西を結ぶ跨線橋の下御隠殿橋から見る新幹線。橋の中ほどにトレインミュージアムと呼ばれるバルコニーが設置されている(イメージ)
貸切車両の乗車体験では、普段は乗車できない荒川区内の貨物線を走行し、車内アナウンスを体験する。
荒川区内にはJR各線のほか東京都交通局の都電荒川線と日暮里・舎人ライナー、京成電鉄、東京メトロの千代田線と日比谷線、つくばエクスプレスなどが走っている。そうした中、荒川区がJR東日本を選んだ理由は、先述した新宿駅での駅長・駅員体験といった自治体とコラボした前例があることが大きい。
「体験の場所を日暮里駅に設定した理由は、山手線の駅なので区外からでも集合しやすいという理由もありますが、なにより日暮里駅が鉄道ファンから人気になっていることです。日暮里駅に隣接した跨線橋は東北新幹線・東北本線・山手線・京浜東北線・常磐線・京成本線を眺めることができるビュースポットになっていて、鉄道ファンのみならず子連れの親子や区民からも鉄道の聖地と呼ばれている場所です」(荒川区総務企画部総務企画課の担当者)
今回、荒川区は初めての企業とコラボして体験型の返礼品を用意した。そうした事情もあり、まだ返礼品のラインナップは手探り段階だが、「今後は都電荒川線や日暮里・舎人ライナーなどにも広げていきたいと考えています」(荒川区総務企画部総務企画課の担当者)
同じく豊島区もJR東日本とコラボして体験型の返礼品を2日分用意した。その内容は豊島区に立地している池袋駅で駅員の仕事体験と回送列車に乗って池袋駅北側にある車庫へと移動し、そこで車内放送の録音やドアの開閉などの車両機器の操作を体験するというもの。録音した車内放送は、実際に池袋駅で2週間程度使用されるという。
これまでふるさと納税返礼品は、高級牛肉や海産物といったモノが人気を博していた。そのため、多くの自治体は返礼品をモノで用意する考え方が半ば常識化していた。
東京23区は高級和牛や海産物のような地場産品がなく、それゆえにふるさと納税の返礼品合戦では地方都市の後塵を拝してきた。
しかし、今後はモノよりもコトが人気の返礼品になる兆候が出ている。ここで紹介した東京23区の自治体の他にも、秋田県秋田市や埼玉県さいたま市、山梨県甲府市もJR東日本とコラボして鉄道体験の返礼品を用意している。東京23区は鉄道が縦横無尽に走っているうえに運転本数も多い。こうした鉄道資産を活用しない手はないだろう。
鉄道は訴求力のあるコンテンツでJR東日本も協力的であることを考えると、新宿区、北区そして荒川区や豊島区に続けとばかりに、今後も鉄道の体験型返礼品を用意する東京23区の自治体が出てくることは間違いない。
