いつも一緒だったおすぎ(右)とピーコさん
「おすぎさんがいなくなって静まり返る自宅で過ごすうち、ピーコさんはたったひとりの弟を施設に入れてしまったという罪悪感に苛まれるようになりました。ピーコさんは、いつもおすぎさんを気にかける弟思いの兄でした。
一方のおすぎさんも兄を慕っていて、“ピーコがいてくれてよかった。老後は2人で暮らしたい”と常々口にしていたんです。その言葉を聞いていたのに、同居中はストレスからイライラしっぱなしで、大切な弟を突き放すようなことをしてしまった。“やはり施設に入れるべきではなかったのか”“じゃあ、どうすればよかったのか”という答えの見えない問いにピーコさんは苦しんでいました」
50年ぶりの同居を始める直前、ピーコは「おすぎの具合が悪くなっちゃって、嫌だけど私が面倒をみてやらないとダメなのよ」と周囲に言うものの、その口ぶりはどこかうれしそうだったという。
だが、楽しみにしていた同居をすぐに解消しただけでなく、結果的に弟を施設に入れるという決断をする、予想外の事態となった。あまりの急展開に心の平静を保てなくなったのかもしれない。