ポーランド人は何度も独立運動を起こしたが、失敗。彼らは政治犯として「シベリア流刑」となった。また、仕事を求めてシベリアへ自ら移住した者も含め、ロアシア革命勃発時は約二十万人のポーランド人がいた。こうしたなか、革命に反対するポーランド人は迫害された。
一九四五年(昭和20)八月に、日ソ中立条約を一方的に破棄して満洲へ侵攻したソビエト軍が略奪、強姦の限りを尽くしたように、このとき「残留ポーランド人」の少なからずの人数が、ソビエト軍に虐殺され女性はレイプされたのである。そして子供たちも孤児となって放置され、そのままいけばシベリアの荒野で餓死するか残留孤児となるところだった。
ところが、そうはならなかった。一九四五年に日本人の子供たちが「中国残留孤児」になってしまったのは「救い手」がまったくいなかったからだが、このときのポーランド孤児には頼もしい「助っ人」がいた。シベリア出兵していた大日本帝国陸軍である。
その救済について述べる前に、以前にも少し述べたかと思うが「戦場におけるレイプ問題」について少し触れておきたい。これはどんな戦争でも必ず起こりうる問題だからだ。具体的に言えば、これは「男性兵士による住民女性への性加害」である。
どんな軍隊にも個性というものがあるが、そうした観点から見ればソビエト軍(ロシア軍)というのは伝統的にレイプを「好む」軍隊である。いまのウクライナ戦争でもロシア軍はやっているようだが、重罪人を「国のために戦えば罪を免除してやる」などと焚きつけて前線に出す、というのがロシアの伝統的なやり方で、そうであるがゆえに性加害が増えることになる。
しかし、じつはこれはロシアだけの問題では無く、戦争というものに常につきまとう現象ではある。徴兵制とはなにかと言えば、それまで普通の生活をしていた市民を戦場に駆り出すことである。そして戦場に駆り出すということは、イコール敵の兵士を殺せ、つまり「殺人を犯せ」ということである。だから軍隊では必ず一般兵士に、最終的には「野獣になれ」と強制する。そうしなければ戦士として活用できない。
しかしながら、それで「野獣と化した兵士」に、女性に対してだけは「紳士的であれ」という態度を取れと強制することが可能だろうか? 別に心理学の専門家で無くてもそんなことは無理、あるいはきわめて難しいということがわかるだろう。専門の訓練を受け軍規を尊重することを叩き込まれた職業軍人ならともかく、元は素人の召集兵には困難である。いや、職業軍人だってそれは難しい。戦場で明日死ぬかもしれないからだ。当然「人間としてのタガ」が外れるということは往々にしてある。