1925年の竣工から今年で100年を迎える安田講堂(写真/イメージマート)

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 その一方で、同期はそんな僕を尻目にどんどんフランス語を習得していったのだ。ペラペラペラペラと異国の言葉を話す彼らを見て僕は呆気に取られてしまった。

 彼らの何がすごいかって、演習の授業は週1でしか実施されないのに、その少ない頻度で言語をものにしているということだ。

 文法の授業は多くて週2で、合わせても週3回しかフランス語とは触れ合わない。そんな限られた回数の中で、授業の内容をぐんぐんと吸収していく彼らを見て、僕は彼らとの差を感じずにはいられなかった。あとなんかそういうやつに限って発音もいい。なんでだよ、悪くあれよ。

 もちろん、予習復習をしているのならばまだ説明はつきそうだが、オーラルの予習復習があまり想像できないことに加え、そもそも大学生になった彼らがわざわざそこに時間を割いて勉強するとも思えなかった。

 後々聞いてみると、どうやら第二外国語は高校の授業でも触りをやるらしい。高校の授業進度が速すぎて、大学の勉強も授業でやっていくこともあるんだとか。なんだよ、それチートだろ。こっちなんて世界史Bが高3の冬に終わるんだぞ。こりゃ大学受験で勝てないわけだ。

 高校の間に先取りの勉強をしていることは、彼らにとって別に珍しいことではないらしい。たとえば、数学は経済学部ならば何かと使用するため、文系でも必ず数IIIを終わらせ、場合によってはそれより発展的な内容も勉強するらしい。授業では扱わないけど暇だから、という理由で個人的に大学数学をゴリゴリ進める人もいるとのこと。進めるだけでは飽き足らず、実際に東大の数学の授業に潜り東大生に混じって勉強するのだとか。なんで高校生してるんだよ。

 持ち前の吸収力と、圧倒的な先取り学習によって東大の授業さえ無双していく東大生。東大生の間でも格差をまざまざと見せつけられた出来事だった。

第2回に続く

富山県トップの公立進学校から東大法学部という経歴を生かし「東大のリアル」を描いた『ヤバイ東大解剖録』(KADOKAWA)

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