日本ハム時代は選手と「友達」のような関係に(ライブリー提供)

日本ハム時代は選手と「友達」のような関係に。家族で交流していた(ライブリー提供)

陽岱鋼との“渡米計画”

 日ハムは当時、野茂英雄の息子・貴裕など複数の通訳者を抱えていた。クロッタは、「一平と貴裕と1週間ごとに担当してもらっていた」という。大谷がエンゼルスと契約した際、水原がその通訳に選ばれた理由は何なのか。ライブリーに聞くと、「個人的な考え」と前置きした上で、こう語った。

「一平は(エンゼルスの本拠地である)LAで育っているから土地勘もある上に、皮肉が多いアメリカンジョークなどの細かいニュアンスまで完璧に理解できる。だから抜擢されたのではないか」

 また米国で活躍する日本人メジャーリーガーへの憧れもあったはずだ。

 それを示唆するのが、大谷と渡米する前、水原は日ハムに所属した外野手・陽岱鋼(38)の通訳としてメジャー行きを考えていた、という話だ。ライブリーが語る。

「陽に『通訳として連れて行きたい』と言われたと、一平が言っていました。(実現しなかったのは)陽には、アメリカからオファーがなかったのでしょう」

 台湾出身の陽は、福岡第一高校への野球留学を経て日ハムに入団したが、その後は大リーグ挑戦を夢見ていた。陽とも親交が深かった水原は、その相談を受けていたのかもしれない。

 この話について、現在、NPBイースタン・リーグのオイシックス新潟アルビレックスBCでプレーする陽本人に確認すると、「それについては……何も言えない」と語り、否定も肯定もしなかった。

 この「渡米計画」は幻に終わったが、通訳の枠を越えた付き合いで外国人選手と接した水原は、岩本をはじめとした球団幹部からの信頼も得て、「大谷の通訳」の座を勝ち取ったのだろう。

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