スポーツ

蛯名正義氏が語る“騎手同士の一体感” 競馬学校で3年間「同じ釜の飯を食った」同期との絆、2000勝達成時に騎手仲間に囲まれて祝福された思い出

蛯名正義氏は先輩騎手や同期の騎手とどう付き合っていたのか

蛯名正義氏は先輩騎手や同期の騎手とどう付き合っていたのか

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、騎手同士の絆についてお届けする。

 * * *
 僕は競馬学校の3期生ですが今年の新人はもう第41期。女性1名を含めて7名、和田竜二騎手の息子さんがいるなどと聞くと、しみじみ時の流れを感じてしまいます。その一方、1期の柴田善臣さんや2期の横山典弘さん、同期の(武)ユタカが現役のトップジョッキーだというのも、改めて尊敬してしまいます。40歳も年の違う人間が同じレースで競い合うスポーツはそうそうないでしょう。

 僕のデビュー戦は1987年の3月1日。新馬戦で15頭立ての14着。調教であまり目立っていなかったこともあって、師匠の矢野進先生は「他の騎手に迷惑をかけずに乗ってこい」とだけ言ってくれましたが、スタートからずっと後ろを走っていて迷惑をかけることすらできませんでした(笑)。当時は競馬学校生による模擬レースもあまりなかったので、お客さんの前で乗ったことがなかった。初めて勝てたのはデビューから1か月以上たってからでした。それでも早い方でした。

 先輩騎手は厳しかったけれど、いろいろなことを教えてくれました。競馬の前日に調整ルームで一緒になった時は、積極的に話を聞きました。昔はクセの強い人が多く、はぐらかされることもあったけれど、年が離れていることもあって結構親切でした。当時は理解できなかったこともあったけれど、経験を積んでいくうちになるほどこういうことだったのかと気が付くこともありました。競馬のことだけではなく、お金の使い方やお酒の飲み方など社会のことも教えてくれました。

 ジョッキー同士は共に競馬界を盛り上げていこうとする組織の同僚です。特に競馬学校で3年間「同じ釜の飯を食った」同期との絆はずっと続きます。ライバルではあるけれど、レースが終わった後はノーサイド。他のジョッキーのことをリスペクトできないと、やっぱりいい仕事はできません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜逃げした「郷土料理 たち川」に、食品偽装があったという(左はinstagramより、右は従業員提供)
「飛騨牛はホルスタイン、天然鮎は養殖モノ…」岐阜・池田温泉、町が委託したレストランで“食品偽装疑惑”「仕入れ先が減り、オーナー自らスーパーで割引の商品を…」【7月末に夜逃げしていた】
NEWSポストセブン
痩せる前のエヴィヤタルさん(インスタグラムより)
「弟はもはやガイコツ」「この穴は僕が埋葬される場所だろう」…ハマスが“人質が自分の墓を掘る”動画を公開し世界各国から非難噴出《飲まず食わずで深刻な飢餓状態》
NEWSポストセブン
本州に生息するツキノワグマ。体長120~180センチほど。最近では獣害の被害が増えている(イメージ)
《襲われる被害が多発》クマに悩まされる養蜂家たちが告白 「今年はあきらめるしかない…」「槍を作って山に入るヤツもいる」
NEWSポストセブン
デコラファッションで小学校に登校していたいちかさん、中学生となり衝撃の変貌を遂げていた…!
《デコラ小学生が衝撃の変貌》グリーン&ゴールド髪が“黒髪少女”に大転身「ほぼスッピンのナチュラルメイクで中学に登校する」意外な理由とは
NEWSポストセブン
昨年に第一子が誕生したお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行、妻・沢井美優(右・Xより)
《渋谷で目立ちすぎ…!》オレンジ色のサングラスをかけて…ティモンディ・高岸、“家族サービス”でも全身オレンジの幸せオーラ
NEWSポストセブン
“原宿系デコラファッション”に身を包むのは小学6年生の“いちか”さん(12)
《話題のド派手小学生“その後”》衝撃の「デコラ卒アル写真」と、カラフル卒業式を警戒する学校の先生と繰り広げた攻防戦【『家、ついて行ってイイですか?』で注目】
NEWSポストセブン
収監の後は、強制送還される可能性もある水原一平受刑者(写真/AFLO)
《大谷翔平のキャスティングはどうなるのか?》水原一平元通訳のスキャンダルが現地でドラマ化に向けて前進 制作陣の顔ぶれから伝わる“本気度” 
女性セブン
「池田温泉」は旅館事業者の“夜逃げ”をどう捉えるのか(左は池田温泉HPより、右は夜逃げするオーナー・A氏)
「支払われないまま夜逃げされた」突如閉鎖した岐阜・池田温泉旅館、仕入れ先の生産者が嘆きの声…従業員が告発する実情「机上に請求書の山が…」
NEWSポストセブン
バラエティ、モデル、女優と活躍の幅を広げる森香澄(写真/AFLO)
《東京駅23時のほろ酔いキャミ姿で肩を…》森香澄、“若手イケメン俳優”を前につい漏らした現在の恋愛事情
NEWSポストセブン
柳沢きみお氏の闘病経験は『大市民 がん闘病記』にも色濃く反映されている
【独占告白】人気漫画家・柳沢きみお氏が語る“がん闘病” 今なお連載3本を抱え月産160ページを描く76歳が明かした「人生で一番楽しい時間」
週刊ポスト
芸能界の“三刀流”豊田ルナ
芸能界の“三刀流”豊田ルナ グラビア撮影後に語った思い「私の人生は母に助けられている」
NEWSポストセブン
ラーメン二郎・全45店舗を3周達成した新チトセさん
「友達はもう一緒に並んでくれない…」ラーメン二郎の日本全国45店舗を“3周”した新チトセ氏、批判殺到した“食事は20分以内”張り紙に持論
NEWSポストセブン