国内

日本初のナポリタン専門店「パンチョ」誕生秘話は“脱オシャレ” 「忙しい男性」ターゲットがカギに ソースのレシピは「社内でも3人しか知らない」

「街の給スパ所」スパゲッティーのパンチョ

「街の給スパ所」スパゲッティーのパンチョ

 飲食店の経営はコロナ禍を抜けても、依然として厳しい状況にある。帝国データバンク によると、2024年の飲食店の倒産が過去最多となった。倒産件数は894件で、前年(768件)比で16.4%増加。2020年(780件)を上回り過去最多を更新した。背景には、急速に進行した円安による物価高の影響、人材獲得のための賃上げによる事件費の高騰などがある。

 飲食店の経営環境厳しさを増す中、新規出店を加速させている異色の飲食店がある。昨年、創業15周年を迎えた日本初のナポリタン専門店「スパゲッティーのパンチョ」だ。飲食店への逆風が吹く中、勢いづくこの店は、いかにして生まれたのか。そして好調の秘密は──。

 日本ナポリタン学会会長・田中健介氏が、「パンチョ大王」としてSNSでも1万人以上のフォロワーを持つ「スパゲッティーのパンチョ」CEO野尻圭介氏を取材。田中氏の著書『ナポリタンの不思議』(マイナビ出版)より、日本初のナポリタン専門店の誕生秘話についてお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全3回の第3回。第1回を読む】

 * * *
 スパゲッティナポリタンが真の国民食になるべく、外食業界も動きを見せている。その一つに「ナポリタン専門店」が全国的に萌芽し始めている、というのがある。

 その筆頭となるのが「スパゲッティーのパンチョ」である。

 2009年に東京・渋谷は道玄坂に1号店がオープン。食券スタイル、トッピングのバリエーション、麺の量を自在に調整できるという、日本のクイックフード業界が作り上げたノウハウをいいとこ取りし、ビルの地下などに店舗展開することで、「スパゲッティ=パスタはオシャレ」「イタ飯はデートで利用するもの」、そんなグルメブーム以来の風潮から、男一人が気軽にスパゲッティを、ナポリタンを腹いっぱい食べられるコンセプトは「男心」を掴み、コロナ禍の期間も攻めの姿勢を崩さず全国的に店舗展開。2025年3月現在で直営・フランチャイズを含め三十九44店舗にまで伸ばしている。

「改めてナポリタンは、うまいと言わせたい。」

 このコピーで2024年に創業15周年となった。

 運営会社は株式会社パンチョ。居酒屋チェーンなど多くの飲食店業態を持つ「ファイブグループ」にあるが、このほど株式会社B級グルメ研究所から分社化された。

 CEOの野尻圭介氏は「パンチョ大王」として自らも広告塔的存在となり、SNSでも一万人以上のフォロワーを集める。

「新店オープンなどで店へ行くとお客様から『大王ですか?』などとお声がけいただいたり、『大王に会えた!』なんて投稿いただいたりして、そんなコミュニケーションができることを日々楽しみにしています」(野尻氏)

 株式会社パンチョの前身である株式会社B級グルメ研究所は、「吉祥寺どんぶり」というB級グルメ専門店からスタートしたが、2000年代後半は売上が振るわず、会社経営において厳しい局面に立たされていた。

「『最後に何かチャレンジしてやめよう』と、そういうところまで追いつめられて、スパゲッティ専門店に挑戦してみようと思ったのです。ただ、スパゲッティ専門店だとオシャレなイメージで男性は食べたくても入店を躊躇してしまう。一方でコンビニではスパゲッティがよく売れている。ならば『忙しい男性がクイックにスパゲッティを食べられるお店』にしようと考えたのです」(野尻氏)

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
告示日前、安野貴博氏(左)と峰島侑也氏(右)が新宿駅前で実施した街頭演説(2025年6月写真撮影:小川裕夫)
《たった一言で会場の空気を一変》「チームみらい」の躍進を支えた安野貴博氏の妻 演説会では会場後方から急にマイクを握り「チームみらいの欠点は…」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン