館内の観戦風景にも変化が
◆「茶屋の出方への祝儀」が少なくなった
一方で、相撲のチケットが超プラチナ化したために、価値の高い接待として大企業から招待されたり、運よくマス席を手に入れた人が初めて国技館に足を運ぶことも増え、そうした人たちが相撲観戦の慣習を知らないケースも少なくないという。茶屋関係者が言う。
「チケットで指定された相撲茶屋に行くと、仕着せと呼ばれる着物にタッツケ袴姿の出方(接客係)が座席まで案内してくれます。その時にポチ袋に入れた祝儀をサッと渡すのが粋なお客さんなんです。若い人が多くなったこともありますが、祝儀がいただけるお客さんは少なくなりましたね」
祝儀は心づけ。当然ながら強制するものではないが、伝統文化とともに受け継がれてきた慣習だ。この茶屋関係者は溜席でマナーが守られなかったり、雰囲気が変わったりしてきているとも話す。
「着物姿の男女が少なくなりましたね。最近は若いお客さんが多くなり、カラフルでラフな服装が多い。特にNHK中継で映る向正面は目立ちたいという空気が漂っている。後方のお客さんが見えづらくなることから避けられていた帽子姿も見かけるようになった」