舞台「カリギュラ」(1976年)にて、小池朝雄さんと

舞台「カリギュラ」(1976年)にて、小池朝雄さん(左)と北村さん

「寺田クンは去年亡くなりましたよね。僕より7歳も年下だったから、まさか、とショックでした。僕が大病と闘っていると知ると電話をくれて、『がんばれ』と言ってくれていたのに……」

 文学座を出た劇団員らが劇団雲を設立すると、北村さんも劇団雲へ、そして1976年、劇団雲から発展した劇団昴へと移り主役で活躍した。

「敬愛する役者・小池朝雄(故人)さんに付いて、雲、昴へと移ったんです。それと、昴には『三百人劇場』という劇場を東京・文京区にもっていたことも、昴を選んだ理由です。やはり自分たちの劇場があり、やりたいときに芝居が打てる、というのは大きかったから」

 病に次々と見舞われながらも役者を続けてきたのは、演じることがとにかく好きだったからだ。

「いろんな人間になれるということ。それから、舞台というのは、観客とのコミュニケーションなんです。僕ら役者は観客が感動しているな、ダレてるな、といった反応を感じながら、観客と一体となって芝居を作るんです。その感覚がたまらなくいいんですよ」

 舞台で活躍する一方、20代後半からテレビ界へも活動の幅を広げた。『逢いたい時にあなたはいない…』(フジテレビ系)などの、いわゆる“月9”ドラマにも出演したが、何といっても“俳優・北村総一朗”を多くの人が認知したのは、1997年から放送が始まったドラマ『踊る大捜査線』への出演が大きかった。北村さん、61歳の年だった。

「自分では遅咲きとは感じていません。売れるまでに時間がかかったというのは、幸運だったと思うんですよ。そのぶん苦労をたくさんしたし、いろんな体験ができた。それは、自分が役を演じるうえでの栄養になったのかもしれない」

 夫人の万沙子さんによると、北村さんは勉強熱心で、役が与えられると、そのたびに役に没頭し、稽古場以外の生活の場でも──歩いたり、何かをしたりしながら──セリフを繰り返しブツブツ言い続けるのが、役者・北村総一朗の日常だったそうだ。

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