最小限の動きで最大限の力を出す理想的な投球フォーム(写真=AP/アフロ)
ゴロを打たせる割合はメジャー屈指
野球のデータ解析を専門とする「ネクストベース」のアナリスト・森本崚太氏は球速が遅くても勝てる菅野の特徴として“打たせて取る”投球術を挙げた。
「主にスプリットとカットボール、スイーパーを使って抑えています。ゴロが多いのが特徴で、スイーパーのゴロ割合はメジャー全体で6番目でした」
菅野の速球(フォーシーム)の平均球速は、メジャー平均(152キロ)を下回る148.8キロだ。若かりし頃の160キロに迫るような投球ではないものの、制球力には強みがあるという。
「球速だけでなく、ボールの伸びもメジャー平均レベルで、17cmというスプリットの落ち幅も千賀滉大投手(メッツ)や山本由伸投手(ドジャース)に比べれば小さい。しかし、菅野投手はすべての球種を狙った所に投げられる制球力がある。四死球も少ない。ストライクからボールになるスプリットやスイーパーで、上手に空振りをとっています」
一方で、課題もあるという。5月15日のツインズ戦では2者連続で被弾し、3敗目を喫した。“一発”のリスクとは今後も付き合うことになる。
「打たれているのは、カーブと速球です。カーブは空振りではなく見逃しを狙うタイプの球質なので、投げる場面には注意したいです。速球は高めのコースをより有効に使えると空振りが増加するでしょう」