ロックを解除しようとすると罰金が請求される(Aさん提供)
弁護士は「法的根拠が不明確である点が多い」
有料駐輪場での「不正駐輪」は事業者が頭を悩ませる課題だ。委託を受け、それを取り締まろうとする「CPG」の意図は理解できる。
しかし、個人の所有物である自転車を、民間企業が一方的にカギをかけ賠償金を請求することに、法的な問題点はないのだろうか。「CPG」は、HP上で「法的見解」について以下のように記している。
〈不正駐輪・不正駐車は、他人の所有又は管理地を不法に占拠する行為であり、原則として物権又は債権(借地権等)の侵害で違法と解されます。
土地の所有者等の権利者の許可なく、故意又は過失により、他人の土地に駐車する行為(不正駐輪・不正駐車)は、他人の権利又は利益を違法に侵害する行為であり、原則として不法行為にあたると考えられます(民法709条)。
不正駐輪・不正駐車の結果、土地の使用収益又は事業者による駐輪サービスが妨げられたことによる損害が発生した場合、加害者は被害者に対して損害賠償の責任を負うことになります〉
一方、「弁護士法人ユア・エース」の代表弁護士・正木絢生氏は、サイバーG社の事業について「違法性を否定できない」と指摘する。
「私人が司法手続によらずに自己の権利を実現する行為は『自力救済』と呼ばれ、不正駐輪車両を第三者が移動させるケースはこれに含まれますが、原則として法的に許されていません。例外的に、事態が急迫しており、公的救済を待ついとまがなく、後に権利の実現が不可能または著しく困難となる特段の事情がある場合に限り、必要最小限の範囲で認められる可能性があります。
しかしながら、その『例外』とする要件は非常に厳格です。今回のAさんのケースのように、不正駐輪車両を一律に移動・施錠する行為が、『特別の事情』に該当するとは到底言えません」
さらに、第三者が勝手に施錠することは、窃盗罪などの罪に問われる可能性もあると指摘する。
「前提として、自治体による放置自転車の撤去は、『自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律』に基づく条例によって実施されています。これに対して、『CPG』が行っている行為は、法的根拠を欠いたまま他人の自転車を勝手に移動・施錠するものであり、窃盗罪や器物損壊罪に該当する可能性が否定できません」