舟橋政宏ディレクター
前述の『爆笑問題のシンパイ賞!!』は、芸人やお笑いファンから深く愛された番組だった。しかし、22時台に放送時間が上がると1年ほどで終了した。
「当時のテレ朝日曜22時台を、“地域のお祭り”みたいな枠だと感じていました。ニュース番組の後なので年配の方が多めで、若い人たちはあまりいない。そんな中でやぐらの上から、ママタルトさんの話をしているみたいな感じ(笑)。だから『若い男女でルームシェアをしている芸人がいるんですよ』って最初に言うとか、誰でも興味を持ちやすいように間口を広める工夫をしていました。
最初から芸人の話として芸人の話をするのは難しくて、たとえばお金の話から入って『では芸人の懐事情は?』と芸人の話をするみたいな切り口が必要でした。その時間帯にあった内容にチューニングするのは、難しかったですね。それでも逆に、年配の方も思った以上には見てくれてはいるなとは思いました。終わった後にも特番で生き残るという選択肢があったのはありがたかったし、良かったなと思います」
異色の組み合わせが生まれる背景とは……
爆笑問題と霜降り明星の相性も抜群だった。
「爆笑問題が好きな方は共感してもらえると思うんですけど、僕はもともと、爆笑さんが若手と話しているのが好きだったんです。それでフジテレビの特番で爆笑さんと霜降り明星さんが絡んでいるのを見て息が合っている感じがしたんです。霜降りさんとももちろん番組をやりたいと思っていたので、若手も大ベテランも出られる、自分なりの理想のお笑い番組ができるんじゃないかと思って企画しました」
舟橋は『激レアさん』の若林正恭と弘中綾香、『キョコロヒー』の齊藤京子とヒコロヒー、そして『シンパイ賞』での爆笑問題と霜降り明星と、相性の良い異色の組み合わせをつくるのに秀でている。
「得意というよりは、これまでやってきたこと以外はできないんだと思います。たとえばスタジオに15人くらい集めてトークするみたいな番組は、人生でそんなコミュニティにいたことがないからできないんです。僕は、4人くらいのグループにしかいたことがないから、ファミレスのテーブルに収まるような番組ばかり作ってしまう。
だから、得意というよりは、それが一番イメージできるからということだと思います。タイプは違うんだけど、その2人が共感し合っているところを見るとちょっと嬉しいとか、優しそうな二人がちょっと嫌なことを言ってるのを見ると楽しいとか、それくらいの感覚なんですけど、そういう組み合わせの嗅覚は多少あるかもしれないですね」