“爆弾男”とも呼ばれる西田昌司参院議員(時事通信フォト)
5月3日に沖縄・那覇市での講演会で「ひめゆりの塔」の展示説明について「歴史の書き換え」などと発言して騒ぎを巻き起こした自民党の西田昌司参議院議員。その後、発言を一部撤回、謝罪したものの、5月30日発売の月刊誌で「事実は事実」と正当性を主張している。“爆弾男”とも呼ばれる西田氏の発言をめぐっては、沖縄のみならず、地元・京都でも騒ぎが起きていた。
「西田参院議員の『ひめゆり発言』を聞いて、私を『ポル・ポト支持者』と言った時と同じだと思いました。彼は自分勝手な解釈で適当なことを口にする人物なのでしょう」
こう語るのは京都仏教会常務理事の宮城泰年(聖護院門主)氏だ。京都仏教会は金閣寺や清水寺などの1000か所の寺が加盟する団体。なぜ西田氏は宮城氏に口撃を仕掛けたのか。
背景となったのが「北陸新幹線延伸」問題だった。西田氏は北陸新幹線の与党整備委員会委員長として「小浜・京都ルート」を推進してきた。同ルートは山岳地帯から京都市内まで地下トンネル掘り新幹線を通すというもので、環境面や財政面から疑問の声が噴出している。宮城氏が所属する京都仏教会も「千年の愚行」と反対した。宮城氏が語る。
「京都の北から南まで大穴(トンネル)が開くことで鴨川や地下水が汚染される可能性がある。鴨川の水は寺や祭りには不可欠であり、酒造、染物、豆腐、和菓子など地下水を必要とする産業も京都には多い。地盤沈下による文化財への影響も心配です。
太平洋戦争時のアメリカ軍でさえ文化財に配慮し京都空爆を行わなかったのに、京都選出の政治家(西田氏)が京都の街や自然を破壊しようとする。私は有史以来の愚行だと思っています」