実際の〈こうのとりのゆりかご〉の窓口扉にも同じイラストが描かれている(熊本市の慈恵病院公式サイトより)

実際の〈こうのとりのゆりかご〉の窓口扉にも同じイラストが描かれている(熊本市の慈恵病院公式サイトより)

内密出産が増える社会の「2つの課題」

──内密出産は2021年に慈恵病院で始まり、出産件数は増加傾向にあります。こうしたニーズの高まりから、今の社会に足りないものは何だと感じますか。

宮津:結局「男性の責任」がとても大きいんですよ。というのは、内密出産の相談者の約8割は母親。たとえば乳児の遺棄、殺人などで罪に問われるのも、圧倒的に母親が多いです。つまり、父親側に命が生まれる重みや自覚、責任が足りないんです。

──父親はどこにいるかわからない、という状況もあるそうですね。

宮津:はい。予期せぬ妊娠で父親は逃げてしまい、母親ひとりが追い詰められる……というケースも多いです。私は以前から「その男性はどこにいるのか。なぜ責任を取らないのか」と訴えてきました。

 あともうひとつの大きな問題は、現状の性教育が不十分なことです。性行為をすれば当然、子どもを授かる可能性がある。性行為をする以上は、子どもを持つ覚悟がどこまであるのか。男女ともに、その部分をもっとしっかり教え、考えるべきだと思います。

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