二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?(時事通信フォト)
2023年9月に右肘手術をした大谷翔平(30)が投手復帰2度目の登板(現地時間6月22日)に、663日ぶりとなるマウンドに立ってから中5日で臨んだ。いずれも1イニング限定だったが、前回の登板(同16日)では28球を投じ、2回目は10球少ない18球だった。
2度目の右肘手術を経て、エンゼルス時代とは違った点がいくつかあった。当時は走者がいない場面でもセットポジションだったが、復帰後は左足を後ろに引くノーワインドアップの新フォームで投げていた。
腕の動きも違った。テイクバック時に腕を伸ばさずに曲げたままのショートアームだったエンゼルス時代に比べ、少し大きく振るようになっていた。ノーワインドアップとともに、体全体を使ったフォームに変わっていたのだ。
投じた球種にも変化があった。復帰後初登板で4球種(28球)、2回目でも4球種(18球)を投じたが、とりわけ注目されるのが初登板での球種だ。伝家の宝刀であるスイーパー10球、最速161キロをマークした直球9球に加え、2023年の球種割合では全体の6%だったシンカーが29%を占めた。
その初登板で2安打1失点、2回目は無安打無失点で2三振を奪う順調な回復ぶりを見せている。メジャーリーグの中継解説をする前田幸長氏(野球評論家)は、この大谷のフォームや球種の変化をどう見たか。
前田氏は「とりあえず投げられたということで、上々の試運転かなと思いますね」としたうえで、シンカーについてこう述べた。
「リハビリ中に取り組んできたツーシームというかシンカーでしたが、フォーシーム(直球)とスピードが変わらないので腕への負担は同程度だと思います。シンカーはシュート回転しながら沈むので右打者にゴロを打たせやすいとされるが、今後効果的な球種になっていくかはまだわからないですね。
というのも、引っかかるようなボールもあったからです。実戦登板を続けるなかで他の球種にも慣れてくれば、もう少しシンカーもコントロールできるんでしょうが、とりあえずゲームで投げたという段階。シンカーでゴロを打たせることができるかは実戦を重ねていかないとわからないでしょうね」