理想は「15勝をあげた2022年のフォーム」か
テイクバック時に腕を伸ばさずに曲げたままのショートアームを少し大きく振るようになっていたことについてはこう見る。
「ショートアームのほうがトップは早めにできるため、コントロールがつきやすいという利点はあります。さらに肘への負担も減るので、ボクはショートアームのほうがいいのかなと思っています。
エンゼルス時代の2022年に15勝したシーズンはじめ、当時はショートアームでしっかりトップを作って、スイーパーがよく曲がっていた。腕が下がってしまうとトップに上げてくるまでに少し時間がかかるし、しっかり上がらないまま体重移動することで肘や肩への負担がかかり、ボールが抜けたりすることもある。ショートアームにしてしっかりトップを作るという意識を持った方が技術的にはベターでしょうね」
セットポジションからノーワインドアップへのフォーム変更についてはこう指摘した。
「膝の上げ方などで勢いをつけるということではアリでしょうが、セットポジションのほうがコントロールはつきますね。エンゼルス時代はショートアームと合わせて、セットポジションから投じることで与四球も少なかった。復帰後の登板では力みもあってコントロールを乱す場面があったが、まだゲームでの投げ方を思い出す試運転段階ですからね」
大谷は週1回ペースで投げ、投球数とイニング数を増やしていくものとみられ、本格的な二刀流の復帰はポストシーズンを見据えた9月頃とされる。
「球速も復帰後初登板で100.2マイル(161キロ)ですからね。一番心配していたスピード低下がみられなかったので、そこはしっかりとリハビリに時間をかけた結果でしょう。全体のバランスとしてよかったと思います。ただ、理想は15勝を挙げた2022年のエンゼルス時代でのセットポジションからのショートアームではないでしょうか」(前田氏)
2回目の登板では二刀流弾も放っている。今後実戦登板を重ね、どのようなリアル二刀流を見せてくれるのか。期待が高まる。