猫カフェの臭い問題
以前は面倒をきちんとみるのが難しいと敬遠されることも多かったが一人暮らしでも、小型犬や猫を飼う人が目立ってきた。確かに見守りグッズやサービスが利用しやすくなってきたので、ある程度は可能だろう。だが、猫を飼っていた経験がある筆者としては、一人暮らしでどうやってペットを健康的に飼育できるのか、疑問に思うことも多い。それでもペット人気の高まりはとどまることを知らず、都会には「ペット」と直接ふれあうことができる「犬カフェ」や「猫カフェ」も相次いでオープンしている。
東京・新宿区内の雑居ビルで飲食店を営む男性経営者(60代)の店と同じフロアに「猫カフェ」がオープンしたのは2年ほど前のこと。カフェの経営者という男性が挨拶に来て猫カフェをオープンすること、騒がしくなるかもしれないことなどを謝罪したという。
「腰も低くて感じのいい男性でね。猫は保健所から引き取った保護猫だとも言っていて、立派な仕事だとも思いました。でも、営業が始まると、とにかく迷惑行為だらけ」(男性経営者)
まず起きたのは、猫カフェからペットの糞尿の臭いが漂ってくることだった。猫カフェが毎日ゴミとして出す糞尿を入れたビニール袋がバックヤードに山積みになっていて、男性の飲食店の方へ臭いが流れ込んできていたのだ。さらに別フロアにも系列のペット連れOKのカフェがあり、客が連れてきたペットの粗相が相次いだ。
「エレベーターや共用の廊下、そして店の前でもペットがおしっこしたりウンチしたりね。猫カフェの従業員もお客さんは”アラー”などと言って盛り上がるだけで、さっと拭き取って終わり。その様子を見ていたうちの店のお客さんは、不衛生だと怒って出てきましたよ。本当に頭に来て文句も言いました。でも、ペットはそういうものです、と言って引かないどころか、こちらがペットに理解がない、現代は違う、などと居直られました」(男性経営者)
飲食店経営者の男性経営者がもっとも懸念するのは、やはりペットを媒介して人間に悪影響を及ぼす、ウイルスや病気の発生だ。
「つい最近も、獣医師の男性が猫にかまれて亡くなったという報道をみました。もちろん、極端な例だとは思いますが、うちとしてはそうも言っていられない。ペットが苦手だというお客さんは確実にいますし、アレルギーが出るからと、猫カフェが出来てから店に来なくなった常連さんもいる。それでも、ペットが優先されるんですかね」(男性経営者)
ペットショップが林立し、子猫や子犬が数十万、時には数百万で取引されることもある現代。悪徳ブリーダーの存在なども指摘され、動物愛護の観点からの問題がある一方で、ペット人気は依然として高止まりの状態だ。高齢世帯や小さな子供を持つ世帯がペット飼うことでポジティブな影響があるという研究結果も確かにある。だがその一方で、ペットが苦手、という人たちも確実にいるしアレルギー持ちの人もいる、すでにここで紹介したような「ペット優先過ぎる飼い主」への嫌悪感も、静かにではあるが、拡大しているようだ。