女社長や女医などセレブを装い近づいてくる(写真提供/イメージマート)
「一番被害が多かったのは、平成の後半。まずは詐欺師の片割れの女性が飲食店や競馬場などで、1人でいる高齢男性に目星をつけて声をかける。色々と世間話をしていくうちに、『素敵なお姉さんと交際してみませんか』と持ち掛ける。その誘い文句についフラッと心が動いてしまうような独り身の孤独な高齢男性がターゲットだ」とW氏。
詐欺師の片割れも女社長や女医などセレブを装っているという。「被害者たちはそういう金持ちのセレブ女性が集まる会があると紹介される。詐欺師は、彼女たちは稼いでいるからお金が欲しいわけではなく、交際できる男性を求めていると話す。『キレイなセレブのお姉さんと交際した上、会う度にお金がその都度5万円頂けます。交際10回コースは入会金50万円です』と勧誘する」(W氏)
被害男性たちは、キレイなセレブ女性に会える上に性的関係まで持てる可能性がある。独り身が長くなれば、人の肌が恋しくなることもあるだろう。一人孤独に食事をするより、キレイな女性と一緒なら楽しいと心が華やぐだろう。ワクワクするような魅惑的な誘いに、自分が声を掛けられた、そう思って舞い上がってしまうらしい。その上、会う度に5万円をもらえるとなれば50万円は惜しくない。引っかかる高齢男性はけっこういたという。
W氏によると「被害男性たちは、1回はセレブを装った女性と会って”いい思い”をしているようだが、それは1度きりのこと。あとはいくら連絡しても、”都合が合わない””仕事で急用ができた””海外で会議がある”などのらりくらりと言い訳が続き、そのうち詐欺師らはドロンだ」。
被害男性らも一度はいい思いをし、そこで金銭の受け渡しまでしているため、警察には相談しにくい。「交際相手のセレブ女性を装っていたのは風俗で働く女性などだが、目の前にはキレイな女性がいて、いい事ができると思い込んでいる爺ちゃんたちの頭の中はそればかりで、まさか自分が詐欺に合っているとこれっぽっちも思わない。連絡が取れなくなってそこで始めて、騙された…とわかるんだ」(W氏)。
この一連のセレブ詐欺は、当初、被害男性が他の事件に巻き込まれたことで発覚したという。詐欺師たちは騙す相手の立場や状況に応じて、様々な手口を使ってくる。W氏は「SNS型のロマンス詐欺が増えたが、セレブ詐欺もなくならない。うまい話や甘い話には裏がある。騙されないためには、声をかけられて有頂天にならず、こんなチャンス二度とないと思わず、自分に声をかけてきたなんてこれはおかしいと、まずは疑うことだ」。