地主の息子がハマったガールズバー店員との情事とは…(イメージ、west/イメージマート)
新宿に拠点を構え、これまでに3000件以上の風俗トラブルを解決してきた「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏のもとには、ドラマさながらの案件が寄せられる。歌舞伎町のお膝元にある、紀伊國屋書店新宿本店の「新書部門(6月4週)」でランキング第1位を獲得した若林氏の著書『歌舞伎町弁護士』より、一部抜粋、再構成して紹介する。(記事内はすべて仮名)
裕福な家庭に生まれた相談者は、ガールズバー店員とその恋人からのひどいタカリ行為に遭っていた。相談者の弱みにつけ込もうとする“悪い奴ら”の行為はエスカレートしていく──。【全3回の第2回。第1回を読む】
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美咲はここで勝負に出た。小栗さんと寝たのだ。この、ただ一度の、悪意に満ちた性交によって、小栗さんは美咲が自分を本気で好きになってくれたものと錯誤した。
平山たちと出会う前、小栗さんには約5000万円の貯金があった。情事の後から、小栗さんは2日に一度は店に顔を出すようになった。美咲はその度に睡眠薬を盛り、小栗さんの意識を失わせた上で、虚偽の明細を使って毎回のように50万円近い支払いを要求した。小栗さんは言われるままに支払い、店外で平山に殴られても支払い続け、3年目に入る頃には小栗さんの口座残高は10万円を切るまでになっていた。
平山と美咲は、ついに仕上げに入る決意を固めた。そして地面師よろしく、悪い仲間たちを集めたのである。
美咲が小栗さんと2度目の性交を行ったのは、北陸・金沢の地だった。残念ながら、2人きりの旅ではない。2日前に東京を出発したアルファードには美咲と小栗さん、平山に加えて、3人の男女が乗り込んでいた。不動産業者の我孫子和典、社会福祉法人職員の佐藤かよ子、自称弁護士の国本慶である。
6人は、道半ばの愛知県で豪華な一棟貸しのコテージに泊まったが、金はすべて平山が払った。もちろん、以前に小栗さんからせしめた金だ。
翌日、金沢の宿に入ると、平山と我孫子、佐藤と国本はすぐ観光に出かけた。今日の宿は、こちらも一棟貸しの町屋。残っているのは、美咲と小栗さんだけ。昨日の愛知で買い込んだ酒やらツマミを冷蔵庫から取り出し、2人は差しつ差されつ、身体は次第に熱を帯び、1年ぶりの性交と相成った。
だが、最後に飲んだ1杯には薬が仕込まれていたのだろう。果たした後、小栗さんは意識を失うように眠りに落ちてしまった。