一定の「節度やルール」に基づいてビジネスが行われているという歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)

一定の「節度やルール」に基づいてビジネスが行われているという歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)

 そして、その晩のうちに、動画や写真を入手できた。ビルの非常階段の踊り場で、平山が小栗さんの腹を殴りつけている。これは大切な証拠になるだろう。柄の悪い客だらけのスナックで、酩酊した平山と美咲が抱き合いながらカラオケに興じている動画もあった。

「こいつら、どうしようもないですよ」

 そんなメッセージをくれた若いスカウトもいた。

歌舞伎町にも一定の「節度やルール」はある

 歌舞伎町で長く商いを続けている人々は、前科のない一般市民であれ、ヤクザ者であれ、彼らなりの節度とルールに基づいてビジネスをしている。

 その節度やルールは、時に法律の裏をかき、社会のモラルから外れることもあるが、それでも一定の「ローカルな流儀」は共有されているのである。そのため、平山や美咲のように、ただただ自己中心的で生木を裂くような真似は嫌われる。私も嫌いだ。

 次々に証拠が集まってきたため、「平山による恐喝」ならすぐにでも告訴状を作れると思ったが、これは最優先事項ではない。肝心なのは、土地取引の違法性を証明することだ。更新された不動産登記から、我孫子の存在が割れた。我孫子は1億5000万円の土地をわずか6000万円で手に入れ、その日のうちに1億円で神奈川の不動産業者に転売していた。その不動産会社の幹部が平山だった。

 とすると平山と美咲、それに我孫子がこの事件の主たるプレイヤーなのだろうか。関係者はまだ他にもいるはずだ。詐欺犯を捕らえて起訴すれば、警察官の仕事は終わりだが、弁護士は違う。私のすべきことの本質は、平山や美咲に制裁を加えることではなく、小栗さんの財産を取り戻すことなのだ。

 そのために必要な実際的措置としては「警察への告訴」(懲罰)より、「和解」(返金)が優先される。だが同時に「和解しなければ、酷い目に遭う」と犯人たちに認識させるためには、警察を動かすことも欠かせない。相手陣営の中から「裏切り者」を炙り出す。

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