竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
痛ましい事件は、静岡県浜松市内の歓楽街・千歳町の一角にあるガールズバーで起きた。
「7月6日1時ごろ、山下市郎容疑者(41)がガールズバー店員の伊藤凛さん(26)を連れて彼女の勤務先のバーを訪れた。この時、男は、“ククリナイフ”と呼ばれる殺傷能力の高いナイフを携帯していた。店長の竹内朋香さん(27)を背中からナイフで何度も刺し、店外へ逃走を試みた伊藤さんも続けざまに襲った」(全国紙記者)
山下容疑者は常連客で、亡くなった伊藤さんの“指名客”だった。同店の元従業員が語る。
「山下さんは事件の3週間くらい前にもお店に来ていた。一緒に飲んでいると急に、『こいつ(伊藤さん)はおれの“推し”。あいつのところ以外は行かない』と写真を見せられたんですよ。『あんな女、ほかにはいない』と笑みを浮かべていました」
そんな、“お気に入り”だったはずの女性をなぜ手にかけたのか。
「男は事件前、何らかの方法で竹内さんと伊藤さんのLINEのやり取りを確認していた。捜査関係者によれば、そこには〈あいつうざいです〉など、容疑者を煙たがるようなメッセージがあり、それに腹を立て犯行に及んだようです。竹内さんは後輩である伊藤さんの相談に乗っただけとみられますが、犯行の対象になってしまった」(前出・全国紙記者)
亡くなった竹内さんの自宅を訪ねると、彼女の夫が悲痛な想いを語った。
「ひとつ言えるのは、死んだヤツはなにも言えないし、死んだら終わりなんだよ。妻は完全に八つ当たり、とばっちりを受けて死んだだけなんだ」
バーのオーナーでもあった竹内さんの夫は山下容疑者と面識もあった。
「俺も容疑者と飲んだことはあるよ。でもそれは客だからな。常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ。あんたも昨日会った人に家が放火されるとか思うか? そんなん思わないだろ。今は友達がそばにいてくれるからなんとか平常を保てるけど、正直ひとりになったら何をするかわからない」
身勝手な犯行によって失われた命は重い。
※週刊ポスト2025年8月1日号