ライフ

「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”

失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)

失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)

 失言や不祥事を起こしたときに試されるのが「謝罪力」。その力が決定的に欠けているのが政治家たちだ。最近の実例から、政治家が念入りに教えてくれる「やっちゃいけないダメな謝り方」についてコラムニストの石原壮一郎氏が解説する。

* * *

 参院選も大詰め。どんな結果になるかはさておき、勝てなかった政治家や党の責任者が、いろんな言い方で謝罪する姿を目の当たりにすることになります。

 はっきり申し上げて、政治家ほど謝ることがヘタクソな人たちはいません。もしかしたらわざとやっているのかと思うほど、怒っている側の神経を逆なでしたり、さらに批判を盛り上げたりするダメな謝り方をしがちです。

 政治家も私たちも、間違いや失敗をしでかすのは仕方ありません。しかし、謝り方ひとつで株を上げることだって十分にできます。謝り方には、その人の誠実さや知性や器の大きさなど、人間性がすべて凝縮されていると言っていいでしょう。

 選挙の結果が出たあとで、どの政治家や政党が見事な謝り方でピンチを逆手にとって株を上げるのか、どの政治家や政党がダメな謝り方で支持者をさらにガッカリさせたり世間の評判を落としたりするのか。一種の熱狂状態が落ち着くタイミングだけに、本当に信用できる政治家や政党を見極める格好の手がかりになりそうです。

「~としたら」という言い回しはどんな印象を与えるか

 どんな謝り方が、ダメな人間性を露呈してしまうダメな謝り方なのか。「謝り下手」の代表選手である政治家のみなさんに、その実例を学んでみましょう。

 記憶に新しいところでは、選挙の応援演説で「運のいいことに能登で地震があったでしょう」と言い放った鶴……いや、選挙期間中なので特定の政党や政治家の名前を書くのは控えたほうがいいですね。仮に「J党の亀さん」とします。むしろ失礼な呼び方になっている気もしますが、そういうお約束なのでやむを得ません。

 あのときのあの方の謝罪には、ダメな要素がギッシリ詰まっていました。翌日の記者会見で亀さんは、「被災地への配慮が足りなかったと言われれば、まったくその通りで」と言いつつ、謝罪と発言の撤回をすると述べました。さらに「心苦しい思いをさせてしまったとしたならば」といった発言もしています。

 政治家のみなさんがよく使う言い回しですが、ひょっとして「配慮が足りないと言っている側」や「心苦しい思いをしている側」に責任があると言いたいのでしょうか。「自分はぜんぜん悪くないのに、ヘンな受け取り方をされたせいで責められることになっちゃった。まったくいい迷惑だ」という心の声も漏れ聞こえてきます。

 記者会見のときの亀さんは言葉のチョイスだけでなく、面倒臭そうな態度や高圧的な物言いなど、全身で上記のような心の声を表現していたと言えるでしょう。記者から「議員辞職や離党は?」と質問されたときも、半笑いで「そこまでは考えてません。現状ですよ」と答えるなど、いわゆる「反省の色」をカケラも出していませんでした。

 もうひとり、私たちに「こんな謝り方だけはしてはいけない」と教えてくれているのが、学歴に関する疑惑が盛り上がっている某市の市長です。大学を卒業してようが除籍だろうが、そのこと自体はどっちでもかまいません。とくに市民以外にとっては。あの話題がこれだけ長く日本中の注目を集めているのも、ひとえに「謝り方」を間違ったからです。

 背後でいろんな勢力や思惑がうごめいている気配はありますが、最初の段階で「あの記述は間違いでした。ごめんなさい」と謝っておけば、もっと早く穏やかに収束していたでしょう。「謝るチャンス」を逃したことで、卒業証書のチラ見せという衝撃的な事態の勃発につながり、やがて百条委員会だの何だのと、どんどん話が大きくなっています。

関連記事

トピックス

NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン
犯行の理由は「〈あいつウザい〉などのメッセージに腹を立てたから」だという
【新証言】「右手の“ククリナイフ”をタオルで隠し…」犯行数日前に見せた山下市郎容疑者の不審な行動と後輩への“オラつきエピソード”《浜松市・ガールズバー店員刺殺事件》
NEWSポストセブン
女優の真木よう子と、事実婚のパートナーである俳優・葛飾心(インスタグラムより)
《事実婚のパートナー》「全方向美少年〜」真木よう子、第2子の父親は16歳下俳優・葛飾心(26) 岩盤浴デートで“匂わせ”撮影のラブラブ過去
NEWSポストセブン
那須で静養された愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《「愛子天皇」に真っ向から“NO”》戦後の皇室が築いた象徴天皇制を否定する参政党が躍進、皇室典範改正の議論は「振り出しに戻りかねない」状況 
女性セブン
注目を集める「既婚者マッチングアプリ」(イメージ)
《「既婚者マッチングアプリ」の市場拡大》「AIと人間の目視で悪質ユーザーを監視」「顔写真に自動でボカシ」…トラブルを避けて安全に利用できるサービスの条件とは
週刊ポスト
那須御用邸にて両陛下とかりゆしウェアで登場された愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
愛子さま、3年連続で親子水入らずの夏休み 那須御用邸にて両陛下とかりゆしウェアで登場 「祈りの旅」の合間に束の間の休息 
女性セブン
次期総裁候補の(左から)岸田文雄氏、小泉進次郎氏、高市早苗氏(時事通信フォト)
《政界大再編》自民党新総裁・有力候補は岸田文雄氏、小泉進次郎氏、高市早苗氏 高市氏なら参政党と国民民主党との「反財務省連合」の可能性 側近が語る“高市政権”構想
週刊ポスト
人気中華料理店『生香園』の本館が閉店することがわかった
《創業54年中華料理店「生香園」本館が8月末で閉店》『料理の鉄人』周富輝氏が「俺はいい加減な人間じゃない」明かした営業終了の“意外な理由”【食品偽装疑惑から1年】
NEWSポストセブン
お気に入りの服を“鬼リピ”中の佳子さま(共同通信)
《佳子さまが“鬼リピ”されているファッション》御殿場でまた“水玉ワンピース”をご着用…「まさに等身大」と専門家が愛用ブランドを絶賛する理由
NEWSポストセブン
選挙中からいわくつきの投資会社との接点が取り沙汰されていた佐々木りえ氏
《維新・大阪トップ当選の佐々木りえ氏に浮上した疑惑》「危うい投資会社」への関わりを示す複数のファクト 本人は直撃電話に「失礼です」、維新は「疑念を招いたことは残念」と回答
週刊ポスト
筑波大学で学生生活を送る悠仁さま(時事通信フォト)
【悠仁さま通学の筑波大学で異変】トイレ大改修計画の真相 発注規模は「3500万円未満」…大学は「在籍とは関係ない」と回答
NEWSポストセブン
2025年7月場所
名古屋場所「溜席の着物美人」がピンクワンピースで登場 「暑いですから…」「新会場はクーラーがよく効いている」 千秋楽は「ブルーの着物で観戦予定」と明かす
NEWSポストセブン