中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
昨年の10月7日、東京都千代田区の駐日イスラエル大使館前は騒然としていた。警察庁が極左暴力集団と銘打つ過激派集団「中核派」のデモが行われていたからだ。イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスが大規模な戦争を始めてちょうど1年となったこの日のデモの熱の入れようはいつも以上だった。これまでにも戦争に反対し、激高した中核派のメンバーが大使館前で逮捕されたケースもあり、対峙した警視庁機動隊と中核派150人の間では緊張感が高まっていた。
「お前らがやっていることは虐殺への加担と一緒だよ!!」
怒号とともにヘルメットをかぶった中核派は左右のメンバーと腕を組み、鎖のように繋がった横列を作った。そのような横列を何重にも作った「スクラム」を組み、対峙する機動隊のほうへと各々が叫びながら向かっていく。その中に、バッチリとメイクをした謎の美人がいた──。
「警察庁や公安調査庁は中核派を、暴力革命によって共産主義社会の実現を目指している極左暴力集団と指定しており、『テロ』を起こす危険があるとみて調査や情報収集を続けています。中核派はかつては、火焔瓶などでゲリラ事件を起こしたり、内ゲバで多くの死者を出してきた経緯があるからです。
近年も、長年逃亡していたメンバーが捕まった事件もありました。あまり大きな報道はありませんが、メンバーの逮捕は相次いでいます。今年の6月にも、デモ行進中に機動隊員に暴行をした現行犯で、70代の男と20代の女が逮捕される事件もありました。中核派は学生も対象にした『全学連』を組織し、若年層の取り込みにも比較的うまくいっており、組織から国会議員を出すべく候補者を立てたりもしています。杉並区の洞口朋子区議は、組織から立候補して当選していますね」(公安関係者)
そしてこう続ける。
「組織がどのような状況にあるか、私たちは絶えず監視していますが2024年に入り、若くてキレイな女性が加わったんです。デモなどにいるととても目立ちます。彼女は匿名でXでも情報発信を行っている」(同)
洞口区議に加え、2024年9月には全学連初の女性委員長が誕生するなど、若い女性がメディアに露出し、主義主張を訴えている。しかし“謎の美女”は、これまで メディアなどには露出していないようだ。Xのアカウント名はまさに「マルクス主義」。取材依頼を送り、会ってみると記者の目の前に現れたのは21歳の女性・ニノミヤさん(仮称)だった。一見どこにでもいる雰囲気だが、なぜ彼女は極左暴力集団に足を踏み入れたのか。中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われる彼女の、壮絶な半生を取材した。【全4回の第1回】