エレナ(31)の仕事場へついていくと…
女性が誘う“薄暗い森の奥”
「この森には危険がたくさんある。だからこんなところで本当は働きたいわけじゃない」
女性の名前はエレナ(仮名)。エレナも一緒にいた女性も、ペルー出身の移民だという。エレナはスペインで売春を始め、10年前にパリへと流れてきた。地元の親族へ仕送りを続ける必要があり、1日50ユーロのホテル代を稼ぐためにも、雨の日も冬の厳しい寒さのなかでも、森に立ち続けなければならないと訴えた。
「仕事場を見せてくれませんか?」と記者が尋ねると、エレナは少し間を置いて、頷いた。
「じゃあ、ついてきて」
もう一人は、嫌がるそぶりを見せながら何かをスペイン語で口にした。早口で意味はわからなかったが、その語気から「やめておいた方がいい」と言っているようだった。だが、エレナは構わず、森の奥へと足を踏み入れた。
記者は一瞬ためらったが、後に続いた。湿った土が靴にまとわりつく。薄暗い森の中に、彼女たちの「現実」があった。【後編に続く】