四つ葉マーク、車椅子マークともに表示は努力義務(写真提供/イメージマート)
「まず、私が映像に映る本人なのか証拠を見せろ、免許証の写真などを送れと言うんです。脅されているようなものなのに、そんな相手に個人情報など渡すわけにはいかない。法的措置をとる、というとすぐにブロックされてしまいましたが、別アカウントから確認すると、私の盗撮映像は綺麗さっぱり消えていたんです」(男性会社員)
男性は旧知の弁護士にも相談したが「すでに消えているし、訴訟しても相手から得られるものは何もない」と言われ、泣き寝入りするしかなかったと悔しがる。
「こういうトラブルをSNSで見たことはありましたが、まさか自分がその被害者になるとは思いませんでした。警察や弁護士に相談しても、この程度では残念ながら、となってしまう。消えたと言っても、投稿は数日はネット上で晒されていたんです。それでも、こちらが我慢するしかない。落ちてきた隕石で怪我をしたような、そんな気分です」(男性会社員)
開示請求し警察にも相談したが
予期せぬところで自身が盗撮され、ネット上に晒されるなどという経験は、ほとんどの人は無縁だと思っているだろう。だからこそ、いざその当事者となったときに、パニックになってしまう。こう振り返るのは、自身や家族の盗撮映像をSNS上に晒されたという、広島県に住む団体職員の女性(50代)だ。女性もまた、ある日突然SNS上に「非常識なドライバーである」と晒された。
「車椅子の家族がいるので、高速道路のサービスエリアに設置されている障がい者専用スペースを利用するのですが、その日はちょうど、普段使いの車から乗り換えていて、四つ葉マーク(障がい者マーク)をつけていなかった。それでもこんなトラブルにあった経験はありませんでした」(団体職員の女性)
女性は、障がいのある家族が同乗していた車を、サービスエリアの障害者専用スペースに駐めた。車椅子の家族が一人でトイレを使用中、女性は軽食を買うなどして車に先に戻ってきたが、その様子を見ていたとある人物が「女性が障害者専用スペースを不正に利用している」としてその様子を撮影し、SNSに上げたのだ。
「実は、撮影されている時に気がついて、なぜ撮っているのか聞くと、法律違反だ違法だと騒がれました。ちょうどその時、家族が戻ってきたんですが、車椅子姿を見て、どこかへ逃げました。でもその後、SNSに、言い合いの部分だけが切り取られた映像がアップされ、拡散されたんです」(団体職員の女性)
女性はSNSには疎かったため、こうした被害の状況はすべて女性の息子が把握していたが、あまりの酷さに涙し「ぜったいに許さない」と仕事まで休み、犯人を捕まえようとした。