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『クロカン』『甲子園へ行こう!』週刊連載2本を乗り越えた漫画家・三田紀房のマインドを作った“辛い過去”「人生であれほど苦しいと感じたことはない」

三田氏は30歳でデビューした(イメージ)

三田氏は30歳でデビューした(イメージ)

 30歳で漫画家デビュー後、紆余曲折がありながら「週刊漫画ゴラク」の連載『クロカン』で読者人気を勝ち取り、「自分の居場所を見つけることができた」という三田紀房氏。そこに、「週刊ヤングマガジン」での連載の話が舞い込んだ。すでに週刊連載を持っていた三田氏だが、「ここで断ったら、こんなチャンスは二度と来ない」と連載依頼を快諾。

『クロカン』に加え、「週刊ヤングマガジン」で『甲子園へ行こう!』の連載がスタート。週刊連載2本に加え、隔週刊も1本抱えていたため、同時に3本の連載を抱えることになった。この時、三田氏は41歳。当時、トップレベルの漫画家でも2本連載を持つなら、片方は隔週か月刊というのが常識だったが、この難局をどう乗り越えたのか。

 三田氏の著書『ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇』(講談社)。同書から、同時3本連載の苦労についてお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第3回。第1回を読む】

 * * *
 漫画家として雑誌から依頼を受けるのは名誉なことなので、ある意味うれしい悲鳴でしたが、同時に3本連載を抱えるとなると、喜んでばかりはいられません。

 早速、週刊連載を2本同時並行で進める体制作りに取りかかりました。

 当時、僕の仕事場は練馬区石神井町にあるマンションで、部屋に机を6台詰め込んで、アシスタント4人と一緒に作業をしていました。『クロカン』1本ならこれでなんとかなっていたのですが、もう1本連載が増えることになると、単純に考えて倍の人数が必要です。「ヤンマガ」編集部にもアシスタントの手配をお願いしていましたが、急いでいたので、求人雑誌の『フロム・エー』に漫画家アシスタント募集の広告を出すことにしました。

 幸運にも広告を出すとすぐに応募がありましたが、来たのは全員素人で、ペンを持ったことがある人は一人もいませんでした。ただ、これは僕のポリシーなのですが、単純に来た順に4人を採用しました。早く連絡した人ほど縁が濃いし、熱意もやる気もあるはずだと考えているからです。広告を見て1週間も10日も悩むタイプは、僕と性格が合わないと思うんです。

 作業自体は細かいものの、慣れればなんとかできるだろう。面接に来た日から、全員いきなり作業をしてもらいました。

 こうして頭数は集まったので、マンションの2部屋をぶち抜いて、机を新たに4台押し込みました。

 実際の作業はこんなローテーションです。

「ゴラク」が24ページで「ヤンマガ」が20ページ。週に44ページ。休みなしで働いて1日6ページ強の計算です。

 1週間のうち前半を『クロカン』、後半を『甲子園へ行こう!』に振り分けて作業を進めました。アシスタントは、僕が下書きとペン入れを終えないと仕上げの作業に入れないので、そこまでの作業をいかに速く済ませるかが勝負です。

 アシスタントは、『クロカン』班と『甲子園へ行こう!』班に分けて作業してもらったのですが、どうしても技術にバラツキが出る。そこをいかに調整するかも苦労しました。

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