回収したゴミと尾畠さん
尾畠さんが現在活動する別府港にも、約10センチメートルの津波が到達した。果たして、ご無事なのだろうか。電話をかけると、受話器の向こうから、いつもの張りのある元気な声が響いた。
「おお、電話してくれてありがとう! 心配してくれたんか。わしは大丈夫よ。今日は一日中家におります。娘から『今日は父さん絶対行っちゃダメだよ』って、きつく言われてしもうてね。わしがやっとるのは、テトラポッドに潜ってゴミを拾ういう、ちょっと危ない作業だから。それに、わしがどこにおるかすぐ分かるようなやつまで持たされとるんですよ。別府にも津波が来とるし、何日間かは近づかん方がええよね」
娘さんからGPSを持つように言われているという尾畠さん。自身の安全を確保しつつ、冷静に状況を見極めるベテランボランティアとしての姿がうかがえた。今後の活動について尋ねると、尾畠さんは力強くこう答えてくれた。
「もちろん、今回の津波で被害にあった自治体からボランティアの要請があれば、すぐにでも駆けつけるつもりでいます。今はただ、被害がこれ以上大きくならんことを祈るばかりです」
レジェンドは人々の安全を願いながら、静かに、次なる出動に備えていた。