金正恩朝鮮労働党総書記(右)と娘(朝鮮中央通信提供)(北朝鮮・平壌)。2022年11月(EPA=時事)
背の高さは人物の印象づけ以上に大きな役割を持つこともある。わかりやすい例が、G7やG20などで各国首脳が並んで撮る記念撮影だ。一列に並んだ時の身長差が歴然と違うと、自分の国が弱く、見下げられているような錯覚を覚える。現実にはそうでなくても、身長という要素は人に与える印象を変える要素でもある。
3年弱で20cmほども伸びたジュエ氏の身長をメディアが“爆速成長”と注目したのは、それが特権階級を意識させるからだ。FNNプライムオンラインの報道によると、北朝鮮において身長は身分とつながっており、高身長は特権階級の象徴で、経済格差や栄養格差を示すという。中でもわずか数年で高身長の女性らしい体型になってきたジュエ氏は特別な存在だ。経済的に余裕があり上昇志向を持つ親は、わが子の身長を伸ばすため、韓国製栄養剤や北朝鮮製成長促進剤を求めているという。
ではこのような国で高身長以外に特権階級を印象づけるものは何かといえば、わかりやすいのが体格だろう。身長が170cmといわれる金総書記の場合はふくよかな体型だ。経済事情が悪く食料難の北朝鮮では、体格の良さは身分の高さを想像させる。国の強さをアピールするロシアでは、身長170cmといわれるプーチン大統領が度々その筋肉質な身体をアピールしている。このような国のトップとして君臨し続けるためには、我々が考える以上に見た目の印象が重要なのだろう。
今はまだ金総書記よりわずかに身長が低いジュエ氏、彼女が金総書記の身長を超えた時、金総書記は傍らに立つ娘を見上げるのだろうか。その様子を北朝鮮のメディアはどのように報じるのか、今後に注目したい。