人件費が増すことはない!?
70歳定年制の導入やそれに対する反発について、本誌・週刊ポストは6月の段階でいち早く相撲協会に取材したが、「お答えすることはありません」(広報部)とするのみだった。この問題が重要なのは、62歳の八角理事長が現行制度下では定年まであと1期2年のところ、定年延長が実現すればさらに続投できる可能性があるという点だ。相撲ジャーナリストが言う。
「八角理事長と春日野事業部長は名古屋場所中に理事を中心に70歳定年延長の根回しをしていたといいますが、年寄名跡が今以上に慢性的に不足すると反対する親方衆も少なくなかったという。場所後、監督官庁である文部科学省に相談に行くという話もある。あと1~2年で65歳を迎える親方衆が多いことは都合がいい。そうした勢力を後ろ盾にして、理事会に諮るつもりではないか」
本来、企業にとって定年延長はハードルが高い。人件費の増加が経営を圧迫するからだ。ただ、相撲協会の場合は独特の事情がある。若手親方が言う。
「定年延長や再雇用しても、親方の総数が105と決まっているため人件費が増すことはない。それどころか再雇用の親方の人件費は70%に抑えられる。そのため、スンナリと進められるわけです。だからといって70歳定年が導入されてしまえば、これまで以上に現役力士が協会に残りにくくなる」
果たしてこの動きは角界の将来のためになる動きと言えるのか。今後の動向が注目される。