“番頭”イッセー尾形と“ヨギー”片岡鶴太郎(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、“喜寿だらけ”ライブについて。
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この夏の心の中のふたつの小さなビッグイベントを無事クリア。8月のクソ暑さを前に晴れて自由の身。“喜寿”だというので周りから連日のように祝われて飲み会も多い。“ウィスキーがお好きでしょ”とこの節はハイボール。当誌の副編集長らとも一杯。
イベントのひとつは『月刊Takada2』がめでたく書店に並んだこと。1の赤表紙から2は江戸っ子の色、藍と粋に決まってます。もうひとつはその「喜寿」と「出版」を祝ってのめったに見れない顔付けの生ライブが7月26日(土)「文夫の部屋スペシャル 喜寿だらけの天使の巻」。1100人も入る大きな有楽町よみうりホール。前売券は5分で即完売。しみじみ77歳の人気ぶりに調子にのる。
本もこの日この場から先行発売とラジオで言ったらお陰様で半分近くの方が買って下さった。あこぎな商法かなとも思ったが、今はキチンと書店でもアマゾンでも買い求められます。
ライブの方は、私を祝って駆けつけてくれたおっちょこちょいな善人達。イッセー尾形、片岡鶴太郎、立川志らく、志らら、松村邦洋、松本明子、磯山さやか。不思議な事ってあるもので私がチラシのコピーにチョコチョコっと書いた“喜寿だらけの天使”。当日スタッフが私に耳打ち。「今日は傷だらけの天使、萩原健一の誕生日です」。エッ、ショーケンの? ちなみに何度も書くが私とジュリー(沢田研二)はまったく同じ誕生日。ジュリーは“キジュリー”になったのだ。
で、当日久しぶりに会ったイッセー尾形。「こうしてる場合じゃないのよ。今ずっと時代劇で京都に居るのよ。この会があるから新幹線で帰ってきて明日朝一番でまた京都」とプレゼントを持ってきてくれた。「時代劇なんて珍しいネ。何やんの?」。こう聞かれたら普通主役の名と題名を言うもんでしょ。「ウーン、番頭! ずっと番頭やってる。明朝戻ればまた番頭」「番頭はあんただけの役だろ。時代劇のタイトルとか主演とか」「昔の話だからよく分からない。打ちあげ行きましょ。ちょっと顔出して神保町行って絵の具買ってそれを京都へ持ってって長い待ち時間の時、絵描くの」だと。
そんな時、今やヨガ界でも有名、「ヨギーよ今夜もありがとう」とも言われる片岡鶴太郎。「客前でネタやんの久しぶりだなぁ。マッチで~す。大丈夫かな。チョーチュネッ」など言いつつ30分以上ひとりで客前でものまね入れつつ気持よさそうにうけていた。出番終わった夕方「あゝ眠くなっちゃった。いつもならもう深夜だよ。チェンチェー、打ちあげ行っても食べられないし眠いのでもう帰っていいですか」だと。
※週刊ポスト2025年8月15・22日号