北田文明から送られてきた手紙
私はストレートに「あなたは積水事件にどう関わったのか」と聞いていたが、こう書かれていた。
〈小山が迷走しないようにと考えた私は土井とマイクを会わせることにしました。土井、マイク、私の3人で余計な人間を排除し、すっきりとした関係でストレートに作業を進められるようにしたのです(略)こうした流れで進んだ案件〉〈最初から刑事事件になることを確信していた私は一切表に出ず、いくつかの大きなポイントでのアドバイスと手配に徹しました。おかげで私は不起訴となりましたが、全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう〉(ともに2025年3月27日消印)
北田は主犯格として起訴された土井と内田を引き合わせ、ともに地面師集団を操っていたと告白するのである。
実行犯の1人は「裏で全員を操っていたリーダー」と指摘
北田は地面師の世界では誰もが知る存在で、内田との仲は20年以上に及ぶという。
〈お互いに数千万円を騙し取ったりもしましたが、それでも遺恨を残さない不思議な関係です〉(6月4日消印)
積水事件の舞台となったのは、JR五反田駅近くの600坪の旅館「海喜館」の土地だった。
手紙のやり取りで北田が明かしたところによれば、この土地に初めて触れたのは、内田配下の地面師が土井の事務所に土地の公図や謄本を持ち込んだ時だった。
すでに内田が偽造の権利証を作り、地主のなりすまし役(有罪判決を受けた羽毛田正美)や偽造パスポート類も揃っていた頃である。北田は当時の様子をこう振り返る。
〈土井氏がどうしても成功させたがっていたし、土井氏が何かをやってくれないと、私が貸しているお金(500万くらい)を回収できないどころか、この頃、土井氏の生活費のほとんどを私がみていたので、私も自分の身の安全を確保しながら協力しました〉(6月10日消印)
北田の“仕事”は土井への直接的な「アドバイス」だったという。いくつか説明されたが、最大の“功績”は「客づけ(騙す相手を見つけること)」できずにいたメンバーを排除し、積水ハウスを見つけ出した中間業者の生田ホールディングスに繋げた点だろう。生田とのやり取りも北田が仕切っていたようだ。
〈生田がセキスイにたどり着く前に二転三転し、なかなか決まらなかった。この時に小山に対して土井が大丈夫か?と聞いた。生田は数千万円なら今すぐ支払えると言っている、と小山が答えた。