避難に自動車を利用すると渋滞となり、かえって避難が遅れる(写真提供/イメージマート)
「避難するというと、最初は笑われたんですよ。津波なんか来るわけない、テレビなんか信じてるのかと。客ですから強くいえず、施術してから避難せざるを得なかった。津波が大したことなかったから良かったですが、本当に来ていたらと思うとゾッとする。避難しようとする人を馬鹿にしたり、避難させないようにすることがあってはダメでしょう。施術が終わり外に出ると、近くのパン屋もスーパーも、ほとんど全部無人でしたから」(飲食店経営者)
今回の津波について、マスコミなどが丸一日特番を流すなどした割に「大したことがなかった」などと言われがちで、一部メディアは「津波の被害なし」とも報じたが、宮城・気仙沼ではカキ養殖用のイカダが流されるなど、深刻な被害も出ている。
紛争や戦争の世紀だった20世紀に対し、21世紀は災害の世紀ではないかと言われている。そのなかでも「世界一の地震大国」に住む私たちは、確かに他国民より防災意識はいくらか高いかもしれない。だが、その一方で、頻発する地震や災害、その危険を知らせる警報に「慣れ」てしまっていないか。意識の低下が、防災を妨げ被害を拡大させてしまう。辛すぎる経験は忘れた方がよいだろうが、教訓はいつまでも伝えてゆくべきだろう。