『大市民 がん闘病記』の連載が始まったのは今年の3月
一番楽しい時は、睡眠
病と仕事への不安……そんな柳沢氏は、がんになる前と後で、ひとつ大きな変化が訪れたという。
「今、自分にとって一番楽しい時は“睡眠”になってしまいました。私は一日に3回という変わった睡眠の取り方をしていまして、朝食と夕食(一日2食です)の後に仮眠をとり、そして夜の10時頃にちゃんとした睡眠に入ります。この時が一番楽しいのです。『やれやれ眠れるぞー』と。だから逆に目が覚めた時は、一日で一番辛い時かもしれませんね。『あーあ起きなきゃいけないのか、めんどうくさいなァ』と。
これってマズイですよね、起きているより眠っているほうが楽しいだなんて。生きている意味がないのでは、と。しかし、眠っている時が楽しいのは、まず楽チンだし、というのと、夢が実に楽しいからなんですね。現実より夢のほうがはるかに面白いからです。こんなのは以前は感じなかったですよ、現実より夢のほうが楽しいだなんて。悲しいことではないでしょうか、これって(苦笑)。生きていること自体が時々虚しくなって『困ったなー』になったりはします。コレが老人性ウツってヤツかなと(苦笑)。そんなことを思いながら、でも、ひたすら描き続ける日々です」
※週刊ポスト2025年8月15・22日号