玉木代表へ直撃取材を試みるも、対応はノーコメントだった(『日本中学生新聞』より提供)
最初のターゲットは玉木代表、秘策は「サインで時間稼ぎ作戦」
──早速、取材を始めたわけですよね。
「玉木代表の日程を見ると、7月4日に多田候補が姫路駅前で行う街頭演説に応援に駆け付けるとわかりました。中学校の期末テスト期間中だったのですが、居ても立ってもいられず、現地に取材に行きました。
聴衆の最前列に陣取って待機していると、玉木代表の秘書と思われる人物が『8時2分の新幹線だから!』と関係者にくり返し伝えるのが耳に入ってきました。スマホで時刻表を確認すると午後8時2分発の東京行きの新幹線があったので、その便で東京駅に帰るのだと予想したんです。政治家は帰る間際には必ず、聴衆の中に入って握手をしていくものなので、その機会を狙うことにしました」
──予想どおりに取材できましたか。
「それがうまくいかなったんですよ。陣営の人に『この場所を玉木代表は通りますか』と何度も確認して、『来ます!』って言っていたのに来なくて……(笑)。だから、慌てて群衆の中をかき分けて、新幹線に向かう玉木代表を追いかけました。
でも、僕には秘策がありました。過去に岸田文雄前首相に核兵器禁止条約についての考えを直撃取材したことがあるんですが、その時に著書を差し出してサインを書いてもらって、その間に質問をぶつけて答えてもらったことがあったんです。今回は玉木代表の著書『国民とともに「手取りを増やす政治」が日本を変える』(河出書房新社)を用意していました。名付けて“突撃著書サイン時間稼ぎ作戦”です」
──そしてついに玉木代表に直撃したと。
「はい。何とか玉木代表の前に回り込むことに成功し、小脇に挟んでいた彼の著書を握手するために持ち替えました。すると玉木代表は僕が著書を持っていることに気づいて、『おっ! ペン持ってるか? 書こうか?』とあちらから声をかけてきたんです。僕がペンを差し出すと、玉木代表は『OK!』とサインを書き始めました」
──作戦開始ですね。
「サインを書いてもらっている間に、『玉木さん、多田ひとみ候補が兵庫県知事選挙の際に斎藤候補のボランティアをされていたのですが、それを知っていて公認されたんですか』と質問をしました。玉木さんは『はい、ちょっと待ってよ…』と返事をしてくれたので、ちゃんと質問は聞こえていたんです。でも書き終えると、玉木さんは『はい、はい……。ありがとうございます』と言って、質問にはなにひとつ答えずにその場を去っていきました」
──玉木さんにとって都合の悪い質問だったということですね。
「そうだと思います。公党の代表はいかなる質問にも答えるべきだと思います。無視はありえない。でも、大きな収穫がありました。
実は僕はその時、テレビ大阪の密着取材を受けていてカメラが回っていたんです。その映像を後で見返すと、玉木代表の後ろに国民民主党の兵庫県連代表の向山好一衆議院議員(68)がいたのですが、彼の顔色が一気にくもった様子が映っていました。国民民主党にとって、聞かれたくない質問だったようです」