石破首相に対し、一定の信頼を寄せていると語った川中さん(『日本中学生新聞』より提供)
“石破おろし”には反対「首相はもっと頑張ってほしい」
──現役の政治家だと誰がいちばん信頼できますか。
「いちばんと言われると難しいですが、僕は石破首相を政治家として評価しています。“軍事オタク”とか言われますけど、“政策オタク”の一面もあって、自民党の改憲案とは別に自分でも改憲案を考えている。そして、何よりも自分の言葉で語ろうとしている。国会答弁も官僚任せにしていないんですよ。
もちろん全面的に支持しているわけではありません。個人的には憲法9条の改憲は慎重に考えなければいけないと思うので、そこは少し(自分の意見とは)異なる。昨年は『解散総選挙は考えていない』と言いながら衆院を解散しましたし、それもどうなのかなと思う。
だけど、今の自民党の“石破おろし”の動きは違うと思うんです。たしかに国のトップが責任を取って辞めなければならないこともあるかもしれない。でも、今回の与党過半数割れは、自民党の裏金議員への国民の怒りが大きな要因でもあるはず。それを棚に上げて、裏金議員たちが石破首相に責任転嫁しようとするのはおかしいと思います。トランプ関税は一応15%になりましたが、今後どうなるか分からない。裏金問題の解明と払しょくも不十分です。僕は自民党支持者ではありませんが、課題が山積みになっている今だからこそ、石破さんにはもっと頑張ってほしいと思っています」
記者に対して「(自民党の支持率低迷の)根本原因は石破さんではない」と私見を語った川中さん。取材の最後には、「有権者のあり方」についても熱く語った。
「選挙は、私たちの声を政治に反映させる大切な権利だと思います。その権利を行使することはとても重要。たとえばオーストラリアにおいて選挙は義務で、投票に行かなかったら日本円で2000円弱の罰金が科せられますが、個人的にはそのやり方には賛成できません。やっぱり私たち国民の意思は、義務ではなく“権利”であるべきだと思います。だから、今回の参院選の投票率が上がったことはよかったと思います」
取材中、川中さんからは終始「人生何回目だろう」と思わされるほどの広い知見と、政治に対する熱意をもっていることがひしひしと感じられた。未来の日本を背負う“小さな記者”は、今後どのように成長していくのだろうか──。
(了)
【プロフィール】川中(かわなか)だいじ/2010年12月11日生まれ、大阪市在住。主に選挙・大阪関⻄万博・IRカジノ・森友問題を取材。「日本中学生新聞」の主宰者として紙の新聞を発行。SNS上でもコラム記事を発信している。文化放送『長野智子アップデート』やYouTubeメディア『ArcTimes』『デモクラシータイムス』などにも出演。2025年春より第1・第3土曜の18時に テレビ大阪ニュースYouTube『中学生記者・だいじの対談クラブ』配信中。
<取材・文・撮影/中野龍>
【プロフィール】中野 龍(なかの・りょう)/フリーランスライター・ジャーナリスト。1980年生まれ。東京都出身。毎日新聞学生記者、化学工業日報記者などを経て、2012年からフリーランスに。新聞や週刊誌で著名人インタビューを担当するほか、社会、ビジネスなど多分野の記事を執筆。公立高校・中学校で1年7カ月間、社会科教諭(臨時的任用教員)・講師として勤務した経験をもつ。