「俊足」の現在は
『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』で一番思い出に残っているのは、熱海でドッキリをやられちゃったとき。宴会場でストリッパーの女性たちのガーターベルトに問題が挟まれていて、僕らはそれを取って問題に答える、という設定だったんですけど、僕はストリッパーと一緒に裸になって踊ったんですよ。
そうしたらドッと受けたから「良かったなあ」なんて思ってたら、実は僕の後ろの緞帳が降りて、僕の両親や姉貴、嫁、息子、おばとかがズラリと正座して、僕の裸踊りを複雑な表情で見ていたんですよ。僕が気付くと、オフクロは「何やってんの!?」と言いながら、僕の股間を隠そうとするし、銀行マンだったオヤジは「制作者(父親)として恥ずかしい」なんてコメントしてね。いや、僕のほうこそ恥ずかしかったですよ(笑)。
『ビートたけしのスポーツ大将』では、長嶋(茂雄)さん、王(貞治)さん、金田(正一)さんのいる名球会と野球の試合ができたことが感激でした。カズ(三浦知良)さんやラモスさんとサッカーもやった。たけし軍団に入っていなかったら、こんな経験はできなかったでしょう。本当にラッキーでした。
俊足に注目していただけたおかげで、『明石家さんまのスポーツするぞ!大放送』(フジテレビ系)では金メダリストのフローレンス・ジョイナーさんと一対一で争うマッチレースをして勝つこともできました。ジョイナーさん、かっこいい方でしたよ。僕と同い年なのに、早く亡くなって残念です(1998年38歳で死去)。
今の野球との関わりは、福岡にある社会人チーム「嘉麻(かま)市バーニングヒーローズ」の総監督という立場で、チームが試合のときに応援に行くくらいです。思いっきり走るとか、もうケガが怖くてできません。テレビから今もときどき走る仕事をいただくのですが、以前のように走ってみなさんに喜んでもらうには、相当練習を積まないとできません。
今は瞬発力が勝負ではないモルックというフィンランド発祥のゲームをプライベートで楽しんでいます。木の棒を投げて点数を競うのですが、頭を使って戦略を練ってやるのでおもしろいんですよ。まだまだ身体を動かして楽しみたいですね。
【後編了。離婚について明かした前編を読む】
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト)