自由民主党(写真/イメージマート)
石破首相に辞任しろと叫ぶ議員たちの中には、旧安倍派で裏金問題が発覚したり、旧統一教会問題で叩かれた議員たちがいる。石破政権を支持する国民からすれば、”どの口がいう?”と言いたくなるような現状が起きている。こういう議員たちは「自己奉仕バイアス」が高いのかもしれない。成功した時は自分の能力や努力のおかげになり、問題が起きたり失敗したりしたときは他人のせいや環境のせいにするという心理傾向をいう。人には自分に有利なように物事をとらえやすいという傾向があるが、このバイアスによってこれら議員たちは選挙に負けたという事実だけを見て、石破首相辞任と騒ぐのだろう。
自民党という党は、選挙の敗北をどこまで党の問題と認識しているのだろうか。8月26日、自民党は「米は買ったことがない」「売るほどある」という失言で5月に農林水産大臣を更迭された江藤拓衆院議員が、新組織である「農業構造転換推進委員会」の委員長に就任することを決めた。米問題で農相を辞任してたった3か月の議員に、農業の新組織の委員長を任せてしまう自民党って、いったいどうなっているのか。これまでと何ら変わっていないのか、それほど人材がいないのか。それとも自民党農林族を牛耳る重鎮らの力が強いのだろうか。江藤氏の委員長就任は、自民党という党の体質が変わっていないこと、変わる気がないこと、国民感情を理解できないこと、ないがしろにすることを国民に伝えたようなものだ。
いまや石破おろしは、党内世論と国民世論のギャップの象徴のようだ。石破おろしが続けば続くほどギャップの幅は広がり、石破首相の支持率が上がる。やりすぎは自分の足を引っ張りかねない状況に、石破おろしを叫ぶ議員たちは、さてこれからどうするのだろう。