求人サイトなどの情報よりも、SNSでの偽情報を信じて応募してきた人ばかりだった(写真提供/イメージマート)

求人サイトなどの情報よりも、SNSでの偽情報を信じて応募してきた人ばかりだった(写真提供/イメージマート)

「年間を通じて中途採用を行なっていたのですが、その応募者数が急に増えたんです。いや、増えたとかいうレベルではない。例えば、月間2~3人ほどだった応募者数が、一週間で数十人に膨れ上がった。部下は、SNSの効果ってすごいと喜んでいたし、ネットに疎い私も、SNSは本当にすごいと驚いた。でも、ぬか喜びでした」(海運会社の人事担当者)

 海運会社という特性上、応募者の多くは海の仕事に強い興味があるか、もしくは経験者だった。だが、今回急に増えた応募者の素性を確認すると、全く異業種からの転職や、会社が求める大卒者、経験者などの条件を満たしていない者がほとんどだったという。

「少々特殊な業界ですから、中途採用は経験者のみ、とホームページの求人概要にも明記してあったんです。しかし、応募者のほぼ全員が未経験。さらに、希望する給与もかなり高く、20年以上勤める私の給与を超えていた。一体何なんだと頭を抱えました」(海運会社の人事担当者)

 理由はまもなく、部下からの報告によって明らかになった。

「あるSNSで、弊社が”ホワイト企業だ”と紹介されていたんですが、そこで説明されていたことが全く事実と異なることでした。例えば、社内の中途採用率が50%を超えているとか、新卒者でも中途採用者でも給与水準が一般より高く、年間で200万円以上の貯金も可能、といった感じです」(海運会社の人事担当者)

 さらには「学歴も不問」とも説明されており、投稿のコメント欄には「素晴らしい会社だ」「転職したい」などと、絶賛の書き込みが溢れていた。

「全くの出鱈目ですが、なるほど、応募者はこの投稿を見て、信じて応募してきたのだと思いました。ほんの数名、条件を満たした応募者がおり面談しましたが、やはり全員が例の投稿を見ていました。会社の公式ホームページに記載されていた条件を確認していた応募者もいましたが、SNSの情報の方が最新で正しい、そう思い込んでいたようです」(海運会社の人事担当者)

 社内でもすぐ問題になり偽情報の発信者にすぐ連絡を取ろうと試みたが、メッセージを送ってすぐ、問題の投稿は綺麗さっぱり消えてしまったのだという。

「偽情報を発信していたのは、ホワイト企業やブラック企業、大学の序列などをランキングにして発信しているアカウントでした。偽情報を発信しており、実際に弊社にはそれを信じた応募者が来たので、これは看過できないと思いましたが、法的責任を追及するのは難しいと、会社の顧問弁護士にも言われてしまった。偽情報が消えて以降、応募はピタリと止まりましたが、怒りは収まりません」(海運会社の人事担当者)

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