「33勝と杓子定規に決める必要は一切ないです」
NHKの厚井大樹アナから「大関昇進にどれぐらい(の成績が)必要でしょうか」と振られた琴風氏は、「最低2ケタですかね。これは当たり前のことですが、直近2場所で22勝ですから、やはり2ケタになるんじゃないですか」と応じた。
厚井アナから「33勝という数字がありますが」と突っ込まれると、こう答えている。
「あくまでも目安ですから…。その場所の状況であったり、相撲内容であったりというのが大事になってくる。自慢じゃないですが、私は31勝で上がっていますからね。33勝と杓子定規に決める必要は一切ないです。若隆景がこの人は大関になるなと人が思うような相撲をとっていくことが重要じゃないですか。技能派の大関にぜひ誕生してもらいたいですね。
苦労しているだけに浮ついたところがないですよね。技能に秀でた大関がひとりいると違いますからね。私が思い出すのは旭国関や先代の貴ノ花関で、体は大きくなかったが相撲がうまかった。型があって厳しい相撲で大関を張ってました。琴櫻もいいですが、こういう大関がひとりいると番付の深みが増します」
まさにべた褒めだった。琴風氏が3場所31勝で大関昇進を決めた1981年9月の秋場所は千代の富士が横綱に昇進したことで大関不在だった。大の里の横綱昇進によって琴櫻のひとり大関となっている現状とも重なる。琴風氏と同じ31勝なら今場所は9勝でもいいとも聞こえるが、そこは2ケタの10勝が昇進ラインと解説していた。
厚井アナから「琴風さんは2ケタということですが、舞の海さんの見解は」と振られた舞の海氏は、「できれば11番が欲しいところでしょうが、10勝で終わったとしても、大関がひとりしかいませんからね、内容がよければ大関の声が上がってくるんじゃないでしょうか」と答えた。
場所前の舞の海氏は『NHK大相撲中継・秋場所号』の誌面で「11勝欲しいですね。中日までに1敗、負けても2敗までで切り抜けられれば、大関に上げていくのではないかという機運が生まれてくると思います」としており、琴風氏のコメントに少し動かされた格好だ。
初日に伯桜鵬に一方的に押し出されると、琴風氏は「今日は良いところなしで負けていますから、逆にすっきりして開き直って明日からいけるんじゃないですか」とフォロー。舞の海氏も「若隆景は序盤に取りこぼしが多い。中盤以降に白星を重ねていくタイプです。序盤はなんとか連勝でいってほしかった。大関を狙い力士に失礼ですが、中盤に伯桜鵬と対戦していたら勝っていたと思います」と追随した。
大の里、豊昇龍、琴櫻の横綱・大関はじめ、先場所優勝の琴勝峰、新小結の安青錦、霧島、熱海富士、平戸海と難敵との対戦が残るなか、早くも10勝でもOKという声が出ているが、昇進のハードルはどこまで下がるか。