主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
9月26日に最終回を迎えるNHK朝ドラ『あんぱん』。放送開始以来、作品の人気を支えてきたのが主人公2人を取り巻く個性豊かなキャラクターたちだった。主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良が、オーディションや撮影での思い出を振り返った。
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のぶの親友の小川うさ子は、涙しながらもしっかり前を向ける強い子。
女子師範学校で黒井先生(瀧内公美)と出会い、薙刀の稽古を通して変化する姿に、自分が知らない時代を生きるうさ子の気持ちを汲み取ることが難しい瞬間もありました。
台本を読み、考えていくなかで、「お国のために生きることがうさ子にとっての正義」と、うさ子の信じる気持ちを大切に演じました。
実は私は『あんぱん』のヒロインオーディションを受けたんです。これまで朝ドラのヒロインオーディションを何度か受けてきましたが、落ちた悔しさから泣いたのは『あんぱん』が初めて。
以前からインタビュー取材などで「今後の目標」や「目指すもの」を聞かれると、最初はフワッとした思いで「朝ドラに出ること」「朝ドラヒロイン」と答えていました。記事になるたびにそれが自分に刷り込まれ(笑)、朝ドラへの思いが募っていたんです。
後日うさ子役に決まったと聞いた時は、思いが報われた気がして、本当に嬉しかったです。うさ子を演じたことで役者としての自信に繋がり、背中を押してもらいました。
現場ではのぶちゃんと黒井先生と他愛もない話でひたすら笑った時間が思い出に残っています。
クランクアップ後、演出の柳川監督に「そのままですごく自然だから。これ以上頑張る必要がないよ」と言っていただきました。すごく悩んだ現場を経てのことでしたので、心の奥深くまで沁みわたりました。
【プロフィール】
志田彩良(しだ・さら)/1999年生まれ、神奈川県出身。主な出演作品に映画『ひかりのたび』、『恋を知らない僕たちは』、ドラマ『チア☆ダン』、日曜劇場『ドラゴン桜』など。
※週刊ポスト2025年10月3日号