「絶海の孤島」と呼ばれる青ヶ島(本人提供)
「移住体験を発信してもらえたことで、行ってみたいと感じた人が増える効果はあったと思います。ただ現状、青ヶ島には空き家がなく、移住したくても住む場所がないのが課題です。
村役場の仕事が決まれば優先的に住宅に入れるのですが、仕事がない人やリモートワークの方はすぐに入居するのが難しいのが現状です。そこで住んでみたい人向けにシェアハウスを提供する取り組みをしています」
移住体験プロジェクトでは、島のよいところだけでなく、日々の暮らしを等身大で知り、自分に合うかどうかを判断できるように設計されている。実際にどのような理由で移住する人が多いのだろうか。
「移住のきっかけは人それぞれで、旅行で訪れて景色に惹かれた人もいれば、青ヶ島ならではの焼酎造りに携わりたくて来た人もいます。日本でもっとも人口の少ない自治体というユニークさに引かれる人も多い印象ですね」
動機は違っても、ここでしかできない暮らしに惹かれる点は共通しているという。
「今の村長は人口300人を目指して移住者を増やそうという方なので、今後は受け入れ体勢が少しずつ整っていくのではないかと思います」
支え合う暮らしのあり方には青ヶ島独自の魅力かもしれない──。佐々木さんは、島の将来を見据えていた。
(了。前編から読む)
取材・文/福永太郎(ライター)