国内

高市早苗自民党新総裁誕生に「待望の日本初の女性総理大臣が、女性の人権や社会進出にほとんど関心がなさそうな人なんて」《作家・甘糟りり子氏が寄稿》

史上初の女性総理大臣に就任する高市早苗氏(撮影/JMPA)

史上初の女性総理大臣に就任する高市早苗氏(撮影/JMPA)

 自民党総裁選で、高市早苗氏が新しい総裁に選ばれた。高市氏は史上初の女性総理大臣に就任する見込みだ。「高市総理」に異を唱えるのが作家の甘糟りり子氏だ。甘糟氏が緊急寄稿した。 

* * * 

弱者への視線をいかに持つかが必要な資質のはず 

 全員に馬車馬のように働いてもらう。 

 高市早苗氏が自民党の総裁に選ばれ、所属議員に挨拶した際の言葉です。私は戦時中の「欲しがりません。勝つまでは」を思い出してしまいました。コツコツと足音を立てて、新しい戦前が近寄ってきた気がいたします。いろいろな面で時代が逆行したような総裁選の結果だったと思います。女性初という事実だけをのぞいては。 

 馬車馬発言の後、自分も「ワークライフバランスという言葉を捨てる」ともおっしゃっていました。そりゃあ自民党総裁(ひいては総理大臣)ともなれば、がむしゃらにやらなければならない場面が次々と出てくるでしょう。そこでワークライフバランスを捨てるのは彼女の自由だとしても、SNSではこの発言を褒め称える発信が多々あって、「24時間戦えますか」がよみがえった気がします。 SNSでこの発言に対して「よくいった!我々もワークライフバランスなんて捨ててがむしゃらに働こう」というような書き込みをたくさん見ました。ああ、いわんこっちゃない。決して、美徳にするものではないはず。父親が過労死をした友人はやりきれない気持ちだといっておりました。今は昭和じゃない、令和ですよ、令和。 

 生活保護の受給者について「さもしい顔をして、もらえるものはもらおうとか、少しでもトクをしようと、そんな国民ばかりいたら日本が滅びる」という彼女の発言が忘れられません。困っていたら、もらえるものはもらいたいと思うのは当然です。不正受給者についての発言でしょうけれど、そのために生活保護受給者の人たちを傷つけていいわけがないです。きっと彼女にとって国民は「疑って、取り締まるもの」なんでしょうね。自分たちは支配する側で。 

 政治家にとって一番大切なのは人権への意識だと思います。見栄えや押し出しや語学力、スーツの着こなしや家柄、ましてやルックスなんかより、弱者への視線をいかに持つかが必要な資質のはずです。弱者を「さもしい顔して〜」といい切ってしまう高市さんが日本のリーダーとは、暗い気持ちにならざるをえません。 

 決戦投票では麻生派の票が決め手となったそうです。そもそもその前の段階から、彼女を総裁にすべく麻生さんが策士となって立ち回ったのだとか。派閥がまだ幅を利かせていることに驚きです。そういうのやめたんじゃなかったのか、自民党は。どうしていつまでも85歳の長老の思うように物事が進むのか、本当に不思議です。そこにうまく取り入らないと、女性初の自民党総裁にはなれないのでしょうけれど。 

 なんとも皮肉。待望の日本初の女性総理大臣が、女性の人権や社会進出にほとんど関心がなさそうなあの人なんて。 

 SNSでは、普段女性の社会進出を望んでいる層がどうして高市早苗を推さない、喜ばないといった意見もいくつか目にしました。自分たちと意見が合わない女性を排除して、だから女はダメなんだ、的な。言葉は悪いですが、ばっかじゃないのか。こんな幼稚な意見に反論するのもめんどうくさいですが、別に「女性」というシールの貼られた人を望んでいるわけじゃない。女性の人権が向上されるように願っていて、そうなるように動いてくれる人を推したいのです。女性の人権っていうと大げさに聞こえるかもしれないけれど、普通に一人前の人として扱って欲しいという、それだけなんですけれども。女性かどうか以前に、国民の弱者を「さもしい顔して」と切り捨てる人は望みません。 

関連キーワード

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された(知人提供)
《水戸市ネイリスト刺殺》「ぞろぞろ警察がきて朝から晩まで…」元交際相手の大内拓実容疑者(28)“逮捕前夜” 近隣住民の知人は「ヤンチャな子が集まってた」と証言
NEWSポストセブン
フリースタイルスキー界のスター、アイリーン・グー選手(時事通信フォト)
〈完璧すぎる…〉雪の女王が「ビキニ一枚写真投稿」で話題に 22歳の谷愛凌選手、ミラノ冬季五輪へ スキー×学業×モデル“三刀流”の現在地
NEWSポストセブン
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
NEWSポストセブン
歌舞伎役者・中村鶴松(本名・清水大希)容疑者
《歌舞伎・中村鶴松が泥酔トイレ蹴りで逮捕》「うちじゃないです」問題起きたケバブ店も口をつぐんで…関係者が明かす“中村屋と浅草”ならではの事情
NEWSポストセブン
ブルックリン・ベッカムと、妻のニコラ・ペルツ(Instagramより)
《ベッカム家に泥沼お家騒動》長男ブルックリンが父母に絶縁宣言「一生忘れられない屈辱的な記憶」は結婚式で実母ヴィクトリアとの“強制ファーストダンス”、新婦は号泣
NEWSポストセブン
初場所初日を迎え、あいさつする日本相撲協会の八角理事長(2026年1月11日、時事通信フォト)
土俵が大荒れのなか相撲協会理事選は「無投票」へ 最大派閥・出羽海一門で元横綱・元大関が多数いるなか「最後のひとり」が元小結の尾上親方に決まった理由
NEWSポストセブン
。一般人を巻き込んだ過激な企画で知られるイギリス出身のインフルエンサーのボニー・ブルー(Instagramより)
「行為を終える前に準備」「ゴー、ゴー、ゴーです」金髪美女インフルエンサー(26)“12時間で1000人以上”を記録した“超スピード勝負な乱倫パーティー”の実態
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン