“口裏合わせ”に「名女優でしたね」とお礼
その後、西田氏はこう言い出したという。
「西田さんから、『この話で明日維新本部に行かなければならない。(党本部から連絡があれば)お金はもらっていたと伝えてほしい。今は衆院選挙の公認がかかっているから選挙ができなくなる。あなたの一言にかかっているんです』と言われ、それでいったん預かることにしました」(同前)
翌日、維新の党本部にいた西田氏からA氏、B氏に相次いで電話がかかってきた。電話を受けると、維新の党本部のスタッフも聞いているからと言われ、報酬のことを質問されると、2人とも西田氏に頼まれた通りに「報酬のお金は昨年の府議選直後にもらった」と答えたという。
その後、西田氏は再びA氏とB氏のもとを訪ねて来て、維新の調査に“口裏合わせ”してくれたことを「名女優でしたね」と褒めて礼を言われたと証言するのだ。
政治とカネを監視している上脇博之・神戸学院大学教授は、この問題は収支報告書の虚偽記載にとどまらないと語る。
「公選法では当選するために有権者や選挙運動員に金銭・物品その他財産上の利益の申し込みをすれば、買収及び利害誘導罪に相当する。西田氏のケースでは、過去の府議選の報酬の名目ではあっても、総選挙前に有権者に正当な報酬ではない金品の申し出をしている。これは選挙買収にあたる可能性があります」
西田氏に話を聞くべく直撃すると、「書面でお出しください」と話すのみ。改めて質問状を送ると、
「本来、誤りに気付いた時点で収支報告書を訂正すべきでしたが、その誤りに合わせる形で対応してしまったことは問題であったと思います。今後は、収支報告書等の透明性にも十分に意を払い、適切な対応に努めてまいります。なお、選挙買収との指摘に関しては、弁護士に確認しましたが、それには当たらない、と確認している」
と答えた。維新本部は西田氏の言動を知っていたのか。こう回答した。
「口裏合わせとは認識していない。偏りが無いよう適正に調査していると認識している」
維新の公党としての姿勢が問われている。
※週刊ポスト2025年10月31日号