頭にホッチキス30針……。秋田県北秋田市の市街地でクマに襲われたという湊屋さん
「頸動脈付近にも傷がありましたが、少しずれていたら命も危なかったかもしれません。頭は医療用ホッチキスで30か所、左目の下を2針、唇を2針縫いました。耳たぶも嚙みちぎられ、縫いましたね。
基本的には縫った後は自然治癒。今では自分から熊に襲われたと言わない限り、気が付かない人も多いくらい、見た目も回復しています。襲われた人のなかには熊のニュースを見聞きすると、悪夢を見たり、PTSDの症状が出る人もいると聞きますが、自分は特にありません。今度熊に遭遇したら仕留めて、熊肉を食べてやろうと思っていますよ」
そういって笑う湊屋さんだが、自分の経験を持って伝えたい“防御策”があるという。
「専門家もニュースなどで話しているのをよく見ますが、クマは本当に頭や顔を集中的に狙ってくる。体を押さえつけられたり、とにかく圧力が凄いので、襲われている間は下手に抵抗せずに、とにかく頭を防御することが命を守ることにつながるのかなと思います。
最近の熊は山の中で人間に恐い目にあっていないので、人を見ても逃げず、恐れないようになったと感じます。私の経験からしても、『クマは人間を怖がっている』という考え方は変えていかないと、今後も被害は増えると思います」
冬眠する季節までの辛抱——そう思いがちだが、“冬眠しないクマ”が増える可能性があるとの報道もある。命を守るためにも、湊屋さんのような被害者の貴重な証言は参照するべきだろう。
