209km完走で足がやばいことになる
──そうなると、岩田さんは来年も同じくらいの距離を走ることになりますが……。
「来年走るかどうかは、今のところ未定です」
──それは“アンチ”になる目的を達成したということですか?
「というよりも、今年だけで最長209km走っちゃったんで、これ以上の盛り上がりはないだろうと。視聴者の関心もその時がピークだったと思うので、やるとしても何か工夫が必要かなと」
──大谷選手に対する感情に変化はありましたか?
「なんというか……ハッキリ言って“無”になりました。嫌いとかでもないですし、無関心ってわけでもなく、ただただ“無”です」
──企画開始時点よりは、マイナスの感情になったということですか?
「そういうわけでもないんですよ。言語化が難しいんですが……これっていわば、大谷選手がホームラン打つたびにマラソンするという“罰ゲーム”的な企画じゃないですか。だから、ホームランを打つ大谷選手を嫌悪するようになるんじゃないか、って考えたわけです。でも実際、シーズン全体を通じて芽生えたのは、『大谷選手がホームランを打つことは“当たり前の事象”すぎるので、もう何も感じなくなった』という無の感情でした(笑)。
なんでしょう。イメージ的には“熟年夫婦のような感情”ですかね。ただ在るのが自然になってしまったというか。それって好きとか嫌いじゃない別の感情じゃないですか」
──捉えようによっては、「好き」を遥かに超えた感情ともいえそうですが。
「いや、まあまあ。いやでも、うん、まあ、そうですね(照れくさそうに笑う)」
──最後に、この企画を終えたいま、したいことはありますか?
「どうしても行きたい場所があります。病院です。絶対、身体のどこかが壊れているので、すぐにでも病院に行って治療を受けたいです」
大谷選手の活躍が世界を沸かす裏で、日本では一人の男が密かに偉大な企画を成し遂げていた。大谷選手の来シーズンの活躍に期待するとともに、岩田ゆうたさんが次はどんな“地獄の応援芸”を繰り広げてくれるのかも楽しみでならない──。
(了。第1回から読む)
