地上波ドラマに復帰の手越(公式インスタグラムより)
女性同士の恋愛もメインの1つに
『ぼくたちん家』を語る上でもう1つ忘れてはいけないのは、ゲイをカミングアウトしている日本テレビ報道局ジェンダー班の白川大介さんがインクルーシブプロデューサーとして関わっていること。「LGBTの恋愛だけでなく人生全般をリアルかつ自然に描いていこう」という制作サイドのスタンスを感じさせられますし、これも地上波のドラマにおける変化の1つでしょう。
ただ、『ぼくたちん家』は単純なLGBTのラブストーリーではなく、「親の問題を抱える中学生と同居し、親代わりになる」という要素が加えられました。これは「どこか居心地の悪さを感じながらもひたむきに生きる人々に向けた人生賛歌」を加えるという良い意味での“保険”となり、視聴者層の幅を広げています。
ちなみに今秋ドラマでは、『小さい頃は、神様がいて』(フジテレビ系、木曜22時)にも女性同士のカップルが登場。2人は主人公の夫婦と同じレトロマンションに住む主要人物であり、こちらもプライム帯の作品だけに変化を感じさせられます。近い将来、男性同士だけでなく女性同士のラブストーリーもプライム帯で放送されていくのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。
